Conclusione 「2014年を振り返って」

2014年を一言で表現すると「変化」の年であったなと思います。
今年僕が出場したレースは9月の「裏磐梯山岳耐久レース」ただ一つでした。
2012年と2013年はそれぞれ5レースに出場していましたので、出場したレースはかなり少なかったのですが、色々な山を歩き(走り)に行けたという意味では良い一年だったと思います。
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(昨年までは妻と“2人”で訪れていた「裏磐梯山岳耐久レース」。今年は2月に息子が産まれ“3人”で行ってきました)

✩裏磐梯山岳耐久レース2014

日時 2014年9月21日(日)
種目 男子67.24km
タイム 9:25’00
男子順位 1位
総合順位 1位

ほぼ毎年出場しているこの「裏磐梯山岳耐久レース」ですが、今年はこのレースに臨むうえでの気持ちの持ち方や自分の中での今レースの位置づけに大きな変化がありました。
このレースは昨年まで僕の中で“勝たなければいけないレース”でした。
しかし今年は環境が変わり昨年までのように走れていなかったので“勝ちたいレースに”位置づけが変わりました。
レーススタート時(午前2時)の気温は6℃。
寒くて凍えそうな気温でしたが、天候には恵まれ「猫魔ヶ岳」の山頂から見た朝焼けは最高に綺麗でした。
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(「猫魔ヶ岳」山頂から見た朝焼けの「磐梯山」。僕が今までに山で見た景色の中で“最も美しい”と言える景色でした)

実に1年ぶりのレースは非常にタフなレースでしたが何とか勝って、「家族と小橋社長、カッパCLUBの皆さん、友人、お世話になっている全ての皆さんに感謝の気持ちを届ける」という目標を果たす事が出来ました。
最後はボロボロ、ヘロヘロ状態でトレーニング不足によるスタミナの無さを気持ちで補って何とかゴールした感じでしたが、身体は本当に正直だなと思いました。
何か「才能無いんだからその程度の努力じゃそんなもの」、「もっと努力しろ」と自分の身体に言われている気がして、変な納得感が自分の中にありました。
毎度の事ですが、このレースはスタッフの方も地元の方もとても温かくとても癒されます。
毎年出たいと思う理由もそこにあります。
スタッフの皆様、今年も素晴らしいレースありがとうございました。
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(最後はボロボロ、ヘロヘロ状態でしたが、何とか一番で帰ってくる事が出来ました。もっと努力して来年また来ます)

レース以外で今年最も印象的だった事は9月に参加した「小橋研二生誕祭」というイベントでした。
お祭り好きだった故小橋研二さん(カッパCLUB前社長)の誕生日を皆で祝おうと、カッパCLUBのOBやお客様、所属ガイドのご家族など沢山の人が集まりました。
午前中は利根川でラフティングをし、午後はカッパCLUBのベースでバーベキューをしながら社長の話等で盛り上がりました。
久しぶりのラフティングが最高に楽しく、何より小橋社長を愛する沢山の人達と同じ時間を共有できた事が最高に嬉しかったです。
カッパCLUBのスタッフの皆さん、生誕祭開催にあたり当日以外も準備や片付けなど大変だったと思います。
本当にありがとうございました。
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(小橋社長が愛した利根川を、社長を愛する沢山の方たちと下ってきました。やっぱり社長と「カッパCLUB」最高です)

今年登った山で印象的だったのは9月の下旬にレースで登った「磐梯山」と10月の下旬に登った「大水上山」でした。
「磐梯山」は前述の「裏磐梯山岳耐久レース」のコースの一部に含まれていて、今回初めて山頂まで行きました。
「猫魔ヶ岳」から見た「磐梯山」方面の朝焼けも最高でしたが、やはり「磐梯山」山頂から見る360度のパノラマはそれを上回るものがありました。
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(「磐梯山」山頂直下、「弘法清水」へと向かう登り。期待しながら目指した山頂には期待以上の景色が待っていました)

「大水上山」は同じく前述の小橋社長と2人で登った思い出の山で僕の大好きな山の一つです。
この山に登る度に思い出すのが小橋社長が利根川源流の雪原の雪を溶かして淹れてくださった紅茶がとても美味しかった事、そして一緒に登れて嬉しかった事です。
この日6合目付近まではガスがガッツリかかっていたのですが、7合目付近から次第に晴れていき、山頂に到着する頃には快晴になっていました。
改めて社長は自然に愛されていると感じた瞬間でした。
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(利根川源流の石碑がある所から丹後山方面を見た景色。稜線上を一筋走る登山道と背後の山々がとても綺麗です)

他にも振り返ってみると色々な事がありましたが、沢山の方にお世話になって今年も無事に一年を終える事ができました。
本当にありがとうございました。
来年は更に実り多き年になるよう精進してまいります。
皆様2015年も宜しくお願い致します。
良いお年をお迎えください。

2014年12月29日 倉田文裕
 

Montagna più alta nella prefettura 「鹿児島県最高峰~宮之浦岳」

標高の高い山では既に本格的な冬の到来を感じさせる今日この頃ですが、先日まだ冬の到来をあまり感じさせない屋久島へと行き鹿児島県の最高峰「宮之浦岳」に登ってきました。
今回はその時の事について書きたいと思います。
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(「紀元杉」。車でアクセスができる唯一の屋久杉という事でこの日も沢山の観光客の方がバスに乗って来ていました)

2泊3日の行程で屋久島へと行き、その中日に「宮之浦岳」へと登ったのですが、屋久島に着いたその日は強い雨が降り続く生憎の空模様でした。
いきなりの屋久島らしい雨の洗礼に翌日の登山も雨の中のそれを覚悟しましたが、運良く雨は止み雨無しの登山を楽しむ事が出来ました。
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(「屋久島トレッキング」には防水性とグリップ力に優れるシューズと防水透湿性に優れるレインウェアが不可欠です)

今回の「宮之浦岳」への登山も10月の「富士山」登山の時同様、シューズはトレランシューズではなく、防水性とグリップ力に優れたトレッキングブーツを履き、トレランの装備ではなく、登山の装備を身に付け終始歩きに徹しました。
ルートは「荒川 登山口」から「安房森林鉄道」の線路上を行く登山道を通って「大株歩道入口」へと向かい、「大株歩道」、「宮之浦歩道」を通って「宮之浦岳」の山頂を踏んで、「花之江河」を経由して「淀川登山口」へと下りるというルートで歩きました。
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(朝5時、「屋久杉自然館」から「荒川登山口」へと向かう「荒川登山バス」に乗るためにバス停に列ぶ方達の長い列)

「屋久杉自然館」から「荒川登山口」へと向かう「荒川登山バス」のバス停には想像以上に沢山の方がいて、ハイシーズンでもないのに流石は「世界自然遺産」登録地域だなと思いました。
僕は午前5時発のバスに乗りたかったのですが、定員オーバーで乗れずその次の午前5時20分発のバスに乗って「荒川登山口」へと向かいました。
「荒川登山口」へと到着したのは午前5時55分、そして午前6時丁度、鹿児島県最高峰にして九州最高峰の「宮之浦岳」山頂へ向かって歩き始めました。
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(夜明け前の「小杉谷橋」近くの登山道。「荒川登山口」を出発した時はまだ真っ暗でしたが大分明るくなってきました)

この日の日の出時刻は午前6時50分。
「荒川登山口」を出発する時はまだ辺りは真っ暗でヘッドライト無しでは歩けませんでした。
加えて「大株歩道入口」までは延々「森林鉄道」の線路上を歩く事になるのでライト無しで快適に歩く事は難しい状況でした。
その「森林鉄道」の線路上を歩く登山道は「小杉谷橋」を渡ると線路の中央に平らな木の板が張られ歩きやすくなるので、それまでよりも快適に歩けるようになります。
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(朝日が射し込み幻想的な雰囲気が漂う登山道。木々や植物の雫が朝日によってキラキラと輝きとても綺麗でした)

夜明けは「楠川分れ」から「大株歩道入口」の間を歩いている時に迎えました。
屋久島の夜明けはとても瑞々しく、木々の間から射し込む朝日がとても綺麗でした。
またその朝日に照らされた木々や植物の雫がキラキラと輝く光景にとても癒され、何とも言えない特別な力をもらった気がしました。
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(「森林鉄道」の登山道から「大株歩道」へと入ると道の雰囲気は一変します。ここから本格的な登山道が始まります)

フラットな「森林鉄道」の登山道は「大株歩道入口」で終わり、ここから本格的な登山道が始まります。
サーフェースは木の根や石、木段などバラエティーに富んでいて、滑りやすい場所も多いですが、沢山の人が歩いている道なので苔がベッタリ張り付いている部分も少なく、足を置く場所を選んで歩けば問題ないと思います。
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(至る所で遭遇したヤクシカ。人馴れしすぎて全く逃げない為近づくまでその存在に気付かない事が多々ありました)

この「大株歩道」を歩いている時もそうでしたが、今回沢山の場所でヤクシカに出会いました。
人馴れしすぎて全く逃げず、しかも屋久島の自然に同化していてその存在に気付きにくい為、突然目の前に現れてビックリする事もありましたが、サイズが小ぶりで可愛らしいので出会う度に心が和みました。
因みに今回ヤクシカには沢山出会いましたが、お猿さんには残念ながら出会えませんでした。
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(「縄文杉」。ハイシーズンならまずありえないと思いますが、今回は完全貸切状態で「縄文杉」を見る事が出来ました)

「扇杉」、「ウィルソン株」、「大王杉」、「夫婦杉」と名のある屋久杉の横を通過していよいよ「縄文杉」へと到着します。
ここまで歩いてくる間に下山してくる何人かの登山者の方とすれ違いましたが、「縄文杉」に到着した時にはそこには誰もおらず、完全貸し切り状態でした。
あの「縄文杉」を独り占めという“贅沢な時間”をしばらく楽しみたかったのですが、今回の登山の目的は「縄文杉」を見る事ではなく、「宮之浦岳」に登る事だったので、記念撮影をしたらすぐに出発しました。
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(昨年8月に建て替え工事が行われた非常に綺麗な「高塚小屋」。今は「新高塚小屋」よりも“新”な状態だと思います)

「縄文杉」から少し歩くと「高塚小屋」に到着します。
この「高塚小屋」は昨年8月に建て替え工事が行われたばかりのとても綺麗な小屋で、鉄骨造の3階建て、しかもバルコニー付きのお洒落な造りになっています。
「高塚小屋」から更に標高を上げると「新高塚小屋」という山小屋に到着します。
“新”と付いていますが、新しくなった「高塚小屋」の方が今は新しいので、感覚的には「高塚小屋」の方は「新新高塚小屋」という感じかもしれません。
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(「第二展望台」から「翁岳」、「栗生岳」、「宮之浦岳」をバックに一枚。少しガスはかかっていましたが良い眺めでした)

この「新高塚小屋」に到着する少し前にすれ違った方達はこの日の前日に土砂降りの中「宮之浦岳」に登られたそうで、「今朝登り返してきました」、「今日はラッキーですね」と仰っていました。
確かに前日の雨は麓の方でもかなり強かったので、山では更に強い雨と風であったのかもしれないと思うと大分ラッキーだったのかなと思います。
「新高塚小屋」を通過後は何回かアップダウンを繰り返し「第一展望台」、「第二展望台」、「平石」、「焼野三叉路」と経て、いよいよ「宮之浦岳」の山頂に行き着きます。
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(「第二展望台」から「平石」方面へ少し進んだ場所から撮影した「永田岳」。この山もいつか登ってみたいと思います)

途中の「第二展望台」からの眺めは圧巻でした。
完全に遠くまで見渡せたわけではありませんが、「翁岳」や「宮之浦岳」がハッキリと見え、とてもテンションが上がりました。
また「焼野三叉路」を「宮之浦岳」方面へ少し進んだ所では西側のガスが丁度晴れ、九州で「宮之浦岳」に次いで2番目に高い山「永田岳」の雄々しい姿も見る事が出来ました。
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(「宮之浦岳」山頂。鹿児島県の最高峰にして九州の最高峰の頂き[標高1,936m]に無事に立つ事が出来ました)

そして三叉路から間もなくして鹿児島県の最高峰「宮之浦岳」の山頂(標高1,936m)に到着。
山頂付近には薄くガスがかかっていましたが、そこには5、6人の登山者の方がいて休憩をしつつガスが晴れるのを待っていました。
僕はこの後の天気が心配だったので山頂に長居をせず、記念撮影をしたら直ぐに下山を開始しましたが、やっぱり「宮之浦岳」の山頂とその周辺から見る景色は独特で、その雰囲気は今まで感じた事のない特別なものを感じました。
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(一番手前の山が「宮之浦岳」の隣にある山「栗生岳」、その右奥にある山が「翁岳」、その右側の山が「安房岳」です)

そして「宮之浦岳」の隣りにある山「栗生岳」(標高1,867m)も、そのまた隣りにある山「翁岳」も山頂に巨大な花崗岩がどっしりと鎮座している独特な山容でとてもカッコイイ山だなと思います。 
その「栗生岳」を通過し、「翁岳」、「安房岳」、「筑紫岳」を左手に見ながら巻くようにして徐々に標高を下げていくとその先の「投石平」に向かってやや急峻な登山道が待っています。
「投石平」へ下る登山道の途中には花崗岩の岩場地帯もありますが、しっかりとしたロープが設定されているので慎重に進めば問題ありません。
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(正面に見える山が「安房岳」。鬱蒼とした森の中を一本の登山道だけが走っていてとても美しい景色だと思います)

「筑紫岳」から下っている最中に、真正面に「黒味岳」(標高1,831m)という九州で6番目に高い山が目の前に現れました。
この「黒味岳」は“屋久島三山”の一つで、山頂にはやはり巨大な花崗岩があり、「栗生岳」や「翁岳」とはまたひと味違ったオーラを放っています。
残念ながらルートから少し離れた「黒味岳」には今回は時間がなく登る事は出来ませんでしたが、あの山は「下から眺めるだけでなく登ってみたい」と思わせる魅力的な山なので、次の機会には是非山頂に立ってみたいなと思います。
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(「花之江河」。後ろに見えるのが「黒味岳」です。いつか「黒味岳」にも登り今回歩いたルートを上から眺めたいです)

「投石平」へと下り、「黒味岳」の東側の山裾を巻くようにして進んでいくと「黒味岳」へと至る登山道との分岐に到着します。
「黒味岳」へと向かう場合はこの分岐を「黒味岳」方面へと向かい、「淀川登山口」方面へと向かう場合は正面の大きな岩を乗り越えて直進します。
その後標高を1,630mまで下げると日本最南端にある高層湿原「花之江河」に到着します。
「花之江河」のバックには先ほどの「黒味岳」を綺麗に見ることが出来、この時は気温の上昇と共にガスが少しずつ濃くなりつつありましたが、しっかりとその勇姿を見る事が出来ました。
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(「高盤岳」の山頂にある「豆腐岩」。人の力では作り得ない自然の造形美に僕はただただ自然の力に感嘆しました)

「花之江河」で「黒味岳」を見た後は分岐を「淀川登山口」方面へと進み、もう一つの小さめの湿原「小花之江河」へと向かいます。
「小花之江河」から更に進むとそこには「高盤岳展望台」という展望スペースがあります。
「豆腐岩」で有名な「高盤岳」という山を望む事が出来るのですが、この時は完全に周りをガスで覆われてしまい見る事ができませんでした。
山頂に豆腐を包丁で切り分けたかのような形をした巨大な花崗岩がある「高盤岳」を「高盤岳展望台」では見る事が出来なかったのですが、実は「小花之江河」を通過中に運良く見る事が出来ました。
“隆起”、“侵食”、“膨張”、何がどうなったらこういった形の岩が出来上がるのか頭の悪い僕には全くわかりませんが、ただただ「自然は凄い」と感じた光景でした。
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(透明度が半端ない淀川の水。こういった美しい自然を人の手によって壊してしまう事のないよう守っていきたいです)

「高盤岳展望台」から先は「淀川小屋」に向かって一気に標高を下げていきます。
一気にと言っても約1.6kmの道のりの間に標高を200m強下るので急傾斜がずっと続くという訳ではありません。
加えて標高下げると徐々に植生も変わっていき景色の変化を楽しめるので、飽きる事なく淀川まで下る事が出来ると思います。
淀川に架かる橋が見えたら「淀川小屋」はすぐそこです。
淀川の水の透明度は半端ではなく、「淀川小屋」近くの水場ではその淀川に流れこむ支流のお水を確保する事ができるので是非直にその水に触れてみて下さい。
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(「紀元杉」。人の一生の何倍をこの屋久杉は生きているのかと考えたら気が遠くなりました。本当に自然は凄いです)

「淀川小屋」から「淀川登山口」までの間は1.5km程の道のりで、細かなアップダウンはありますが、基本下り基調で気持ちのいいトレイルが続きます。
この「淀川小屋」から「淀川登山口」にかけての間と「淀川登山口」から「紀元杉」のバス停にかけての間でこの日は「淀川小屋」に泊まって翌日「黒味岳」もしくは「宮之浦岳」に登るという方と結構な人数すれ違いました。
丁度僕が「淀川登山口」に着いた時にポツポツと雨が降り始め、その後少し強くなったのでこの日は雨の中の登山となった皆さんも、翌日はとても良い天気だったので僕と同様“屋久島らしい雨”からの“らしからぬ好天”という楽しい登山になったのではないかと思います。
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(登山の翌日には「白谷雲水挟」を訪れました。写真は「雲の展望台」バス停から撮った「宮之浦港」方面の写真です)

今回「淀川登山口」に下山してから雨に降られましたが、山を歩いている最中は雨に降られる事なく快適に歩く事が出来ました。
この翌日も晴れ間が広がり「白谷雲水峡」も楽しむ事が出来ました。
「独特な気候」、「独特な自然」、そして「独特な雰囲気」、島の全てが独特で普段は感じられない新鮮な空気感を感じる事が出来た3日間でした。
行きたいと思ってもそう簡単に行ける場所ではありませんが、今回登れなかった山やルートもまだまだあるので是非また機会を作って「屋久島」を訪れたいと思います。

2014年11月29日 倉田文裕

Prima gara 「裏磐梯山岳耐久レース 2014」

日時 2014年9月21日(日)
種目 男子 67.24km
タイム 9:25’00
総合順位 1位
男女別順位 1位

9月20日、21日、今年出場する唯一のトレランレース「裏磐梯山岳耐久レース2014」に出場してきました。
僕自身このレースには過去3回出場しており、今回を合わせると4回目になります。
レース自体が今年で5回目の開催なので、タスマニアで行われたアドベンチャーレースの世界選手権に出場する為走る事が出来なかった2011年の同レース以外は毎年出場している事になります。
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(「朝焼けの磐梯山」。今まで出場した全てのレースを含めても今回のレース中に見た景色は最も美しいものでした)

このレースの魅力は毎年コースが変わり、距離も変われば難易度も変わるので、いつも新鮮な気持ちでレースに挑めるところだと思います。
そしてもう一つの魅力がこのレースの最大の特徴である“スタートからゴールまで地図とコンパスを頼りにコースを進む”というところだと思います。
トレイル上にコース案内板、エイドステーションは一切設置されておらず、自分で必要な装備を全て背負い、自分で地図を読みながら進みます。
僕はこの“他とは一線を画する真のトレイルランナーの為の男前なレース”に惚れ込み、これまで出場できる年は毎年このレースに出場してきました。
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(レース前日に行われた競技説明・コースガイダンスの模様です。説明しているのが大会実行委員長の渡邉亮さん)

少し特殊なレース故、毎年定員100人に対して20人~30人くらいしかエントリーしないレースなのですが、年々少しずつ参加者の数は増えていて今年は40人強のエントリーがあったそうです。
昨年まで僕にとってこのレースは“勝たなければいけないレース”でしたが、今年は環境が変わり昨年までのように走れていないので“勝ちたいレース”に位置づけが変わりました。
「勝ってカッパCLUBのTシャツを着て表彰台に立つ」、そして「家族と小橋社長、カッパCLUBの皆さん、友人、お世話になっている全ての皆さんに感謝の気持ちを届ける」、この2つの事を考えてレースに出場しました。
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(僕が今回用意した地図は全部で4枚。レースの2週間前に発表されるコース概要をもとに必要な分を用意しました)

レースは20日に受付と競技説明・コースガイダンス、ウェルカムパーティー等があり、翌21日の朝3時にスタートでした。
レース当日の朝2時の気温は6度、涼しさを通り越して寒いと感じる気温でした。
2時40分から義務装備チェック、2時50分から開会式があって午前3時00分レースがスタートしました。
第一関門のある「林道中道地線終点」までの距離は16.08km。
途中にトレイルは無く、舗装路と林道を繋いでいきます。
地図上では然程難しいルートには感じませんが、まだ夜明け前の真っ暗な時間という事と地図に載っていない林道等が幾つかあるという事がこの区間のナビゲーションの難易度を少し上げていました。
レースの序盤も序盤で、ここでのルートミスは精神的に非常に堪えるので、地形と道の方角をこまめにチェックして慎重に進みました。
ダラダラと上る長い舗装路区間で1人の方に抜かれて2位に順位を下げましたが、トレイルの区間に入れば追い付けるという思いがあったので焦らず自分のペースで第一関門を目指しました。
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(レース前の「義務装備チェック」。レース前とレース後の2回義務装備チェックが行われ不備があると失格になります)

第一関門には1:26’20の2位で到着、ここから本格的な山区間が始まります。
しばらく林道を走り、「猫魔ヶ岳」へと向かうトレイルを登っている時に前を行く1位の方の後ろ姿を捉えました。
そして「猫魔ヶ岳」の山頂を過ぎたあたりで追い付き、声を掛け前に出させてもらいました。
正直もうしばらく後ろを走っている方が楽だったのですが、意識してペースを上げた訳ではなく自然と前に出た結果だったので、このまま自分のペースを守っていけば問題ないと判断しました。
この日は1日を通して最高の天気で、「猫魔ヶ岳」の山頂から見る朝焼けは本当に綺麗でした。
レースでなければその場に1時間は停滞していたと思われます。
この後も山頂や稜線上などから見る景色がどれも素晴らしく、写真に収められなかったのが残念なくらいでした。
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(午前3時、気温6度、真っ暗な中レーススタート。ここから夜明けまでの数時間のナビゲーションが一番困難でした)

「猫魔ヶ岳」通過後は「八方台」方面へと向かい、「磐梯山ゴールドライン」を横切って「中ノ湯」方面へ向かいます。
そして「中ノ湯」の先にある分岐を「弘法清水小屋」方面へと向かい、いよいよ「磐梯山」の山頂を目指して一気に標高を上げていきます。
コースはそのまま山頂を目指すのではなく、「お花畑」、「弘法清水小屋」という順番で通過するよう指示されています。
ここを登っているタイミングで夜が完全に明け、お花畑の先の周りが開けた場所を通過する頃には眼下に素晴らしい景色が広がっていました。
その後予備関門である「弘法清水小屋」を通過し、いよいよ「磐梯山」の山頂へと向かいます。
山頂へと向かう道も決して楽な道ではありませんが、ここまで素晴らしい景色を沢山見てきたので、山頂から見るそれに対する期待感からキツさは特に感じる事なく山頂までたどり着く事が出来ました。
言うまでもなく山頂からの眺めは素晴らしく、360度の大パノラマが広がっていました。
叫びたくなるような大パノラマで、後ろ髪を引かれる思いでしたが、レースなので先を急ぎました。
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(「弘法清水」へと向かう登り。眼下には素晴らしい景色が広がり、この後の「磐梯山」山頂からの眺めも最高でした)

山頂通過後は「猪苗代リゾートスキー場」方面へ一気に下ります。
気持ち良く山頂から「猪苗代リゾートスキー場」へ向かって駆け下りたいところなのですが、山頂からしばらくは傾斜のキツいガレ場が続くため“走行禁止区間”となります。
落石や滑落に注意しつつ慎重に下っていくとやがて傾斜が緩くなり快適に走れるトレイルが始まります。
そのトレイルを気持ち良く下り、スキー場の中を通過すると舗装路へと出ます。P1080103
(ゴール手前では正に“ボロボロ”、“ヘロヘロ”。そうなった原因を作った自分への戒めとなる良いレースになりました)

そのまま舗装路を進みしばらく行った所にある登山道口から再びトレイルへと入って行き、そのトレイルを「猪苗代スキー場」の方へと登って、今度は場内の林道を下っていくと第二関門のある「猪苗代登山口」に到着します。
第二関門の「猪苗代登山口」には4:16’56の1位で到着、ここからは「赤埴山」方面へ向かって長い長い林道を上がって行きます。
この林道が走ろうと思えば走れるけれども、走り続けるのはキツいという絶妙な傾斜と長さで、レース中盤疲労が溜まり始めている身体には相当堪えました。
僕は「ここはまだ無理をする所ではない」と判断して早歩きと小走りを繰り返し、それまであまり補給できていなかった固形物系の補給をここで行いました。
その長い長い林道が終わるとそこから再び登山道が始まります。
そしてその登山道を少し進むと分岐があり、その分岐を「磐梯山」山頂方面へと向かうと比較的平坦な道がしばらく続き、その先にある「沼ノ平」を通過後少し登ると再び分岐が現れます。
その分岐は「磐梯山」山頂や噴火口を見渡す事が出来る稜線上にあり、コースはその分岐を山頂を背にして「川上温泉登山口」方面へと向かうのですが、この稜線上から見る噴火口の眺めは本当に圧巻で、その“力強く”、“カッコイイ”地形から何かしらパワーがもらえるような気すらしました。
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(レース中からこんなに反省した事は今までありませんでしたが、今年もスタッフの皆様のお陰で最高のレースでした)

その後は「川上温泉登山口」方面へと下り、更に途中の分岐を「裏磐梯スキー場」方面へと下って行きます。
この区間を下っている時、大分疲労が溜まり思い通りに身体が動かせなくなってきている自分がいる事に初めて気付きました。
あまり感じた事の無い疲労感に対処法が見つからずどうしたら良いのかわからなかったのですが、下りで止まる訳にもいかず、少しペースを落として進むようにしました。
「裏磐梯スキー場」のゲレンデへと出たら林道を国道459号線方面へと進み、第三関門のある「裏磐梯物産館」へと向かいます。
「裏磐梯物産館」には6:35’03の1位で到着、ハイドレーションの水が空になりかけていたので自販機でお茶を2本購入し先を急ぎました。
※ルート上にある小屋や商店、自販機などでの物の購入は許されています
当然の事ながらこの第二関門から第三関門までの間で2位の方に大分追い上げられていて、第三関門に到着の時点で2位の方とのタイム差はたったの23秒になっていました。
かと言ってギアを上げられるだけの余力も残っていなかったので“生かさず”“殺さず”のペースを心がける事にしました。
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(「カッパCLUBのTシャツを着て表彰台に」という目標を果たす事が出来ました。因みにシャツは後ろ前逆に着てます)

第三関門からは「裏磐梯スキー場」まで来た道を引き返し、ゲレンデの途中の分岐を「中ノ湯」方面に向かい、「中ノ湯」から先「猫魔ヶ岳」までは早朝通ったルートと同じところを通ります。
第三関門の「裏磐梯物産館」でお茶2本を購入し1リットルの水分を確保しましたが、時刻が正午近くになり想像以上に気温が上がった為、「猫魔ヶ岳」に到着する頃にはゴールまで水分がもつかどうか心配になってきてしまいました。
案の定「猫魔ヶ岳」山頂を過ぎ、その先の分岐を「雄国沼休憩舎」の方へ向かって下っている最中には残りが一口か二口になってしまい、そこからは疲労だけではなく渇きとも闘わなくてはならなくなってしまいました。
途中何度か「雄国沼」へと注ぐ沢の水を飲もうかどうしようか迷いましたが、足を止めたくなかったので先へと進みました。
「雄国沼休憩舎」から「雄国山」へと登る時には遂に一滴も水がなくなりました。
しかもこの区間は日陰がなく常に昼間の強い日の光に晒されるので本当に堪えました。
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(僕を育ててくれたカッパCLUBと社長、スタッフの皆さんへの感謝の思い、その思いはずっと変わる事はありません)

何とか「雄国山」の山頂へと登り、あとはゴールの「いこいの森グリーンフィールド」に向かって下っていくだけでしたが、「疲労困憊」で「脱水気味」の身体にはこの下りさえもキツく、過去に3回楽しく下ったこの下りが今回は全く楽しさを感じませんでした。
この下りをやっとの思いで下っている時に思った事は「自分への情けなさ」と「自分への苛立ち」で、「後ろから誰かが迫ってきているのではないか」とか「抜かれてしまうんじゃないか」という事はあまり考えませんでした。
むしろ「こんなボロボロでゴールするくらいなら負けた方がマシなんじゃないか」とすら考えました。
しかしすぐにこのレースに勝ってやりたい事がある事を思い出し、最後の力を振り絞ってゴールへと向かいました。
 裏磐梯山岳耐久レース2014リザルト
(裏磐梯山岳耐久レース2014リザルト。今回のレースでは猪苗代スキー場内でのコースミスが多かったようです)

ゴールの「いこいの森グリーンフィールド」へと戻ってきた時には“ボロボロ”、“ヘロヘロ”状態でした。
しかしそんな僕をスタッフの皆さんは今回も温かく迎えてくれ、9:25’00で無事にゴールする事が出来ました。
今年も運良く1位でゴールする事が出来、「勝ってカッパCLUBのTシャツを着て表彰台に立つ」という目標と「家族と小橋社長、カッパCLUBの皆さん、友人、お世話になっている全ての皆さんに感謝の気持ちを届ける」という目標を辛うじて果たす事が出来ました。
思うところは多々ありますし、内容も良い所を探す方が難しいくらいでしたが、自分への戒めという意味では良いレースになったのではないかと思います。
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(「地図を読めねえヤツは・・・・」「自己責任」という言葉の入った参加賞Tシャツ。このレースならではの良い言葉です)

今回のレースでハッキリした事は来年以降どんなレースに出るにしても圧倒的に少ない今の走る量と時間を今よりも大分増やし、質も良くしていかないといけないという事です。
「言うは易く行うは難し」ではありますが、決して不可能な事ではないと思いますので、挑戦していきたいと思います。
最後に今回も少ない人数で素晴らしいレースを開催して下さったスタッフの皆様、遠く裏磐梯まで応援しについて来てくれた妻と息子、力を頂いた全ての皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございました。

2014年10月29日 倉田文裕
プロフィール

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