2013年09月

Ispezione 「信越トレイル視察」

昨年11月に発売されたある雑誌で2013年ヒット予測ランキングの第1位が「日本流ロングトレイル」となっていましたが、今、日本全国には「人」と「自然」と「文化」が触れ合う、地域の魅力満載のロングトレイルが次々と誕生しています。
今や全国に数あるロングトレイルの草分け的存在が新潟県と長野県の県境に位置する「信越トレイル」なのですが、9月の上旬にその国内屈指のロングトレイルを視察できるという機会に恵まれたので、実際にトレイルの一部を歩いて「信越トレイル」の魅力を直に感じてきました。
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(「これぞ信越トレイル」という綺麗なトレイル。左側のブナの木には入山者数をカウントする装置が設置されています)

「信越トレイル」は新潟と長野の県境に位置する関田(せきだ)山脈の尾根上に延びる全長80kmのロングトレイルで、自然環境と文化を守りながら山と人とのかかわりを後世に伝えていく事を目的として2008年9月13日に開通しました。
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(移動中のバスの中では信越トレイルクラブのガイドの方が信越トレイルについて解りやすく説明してくださいました)

この日本で最初の本格的なロングトレイルの構築には日本のロングトレイルの第一人者である故加藤則芳さんが大きな役割を果たしています。
加藤則芳さんはアパラチアントレイルやジョン・ミューア・トレイルなどの世界中のハイカーが憧れるアメリカのロングトレイルを踏破し、国内外の自然や自然保護をテーマにした執筆活動を続けてきた作家/バックパッカーで、日本で誕生した多くのロングトレイルの発展、構築に貢献してきました。
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(今回は関田峠からトレイルに入って筒方峠の手前④-14という分岐で茶屋池の方向に下りてトレイルを出ました)

加藤則芳さんと共に信越トレイルを立ち上げたもう一人の中心人物が信越トレイルクラブ事務局長の木村宏さんで、今回の視察はもちろんの事、スノーカントリートレイルがまだ構想段階だった頃から色々とアドバイスをいただき、大変お世話になっています。
とてもお忙しい方なので、今回一緒にトレイルを歩く事は出来ませんでしたが、視察前夜の食事会にはお忙し中お越しいただき、「信越トレイル」にまつわる貴重なお話を沢山していただきました。
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(信越トレイルクラブ登録ガイドの皆さんは信越トレイルの自然・文化・歴史の話を分かりやすく説明して下さいます)

視察当日、前夜から降り続く雨が朝になっても止まず、一日中雨の中の視察を覚悟しましが、トレイルに入る頃にはすっかり雨は止み、トレイルは快適に歩く事が出来ました。
先ず最初にガイドの方に案内していただいたのは関田峠からトレイルに入り、筒方峠方面に向かって茶屋池に下りるというルートで、距離は短かいのですが、これぞ「信越トレイル」といった綺麗なブナ林のトレイルを堪能する事が出来るルートでした。
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(豪雪地帯の冬にも負けない信越トレイルのしっかりとした道標。道標に「倉田」という文字があり親近感が湧きます)

見事なブナ林を抜けるトレイルの両脇には様々な種類の草花が自生していて、その一つ一つを丁寧に説明いただきながら歩いたのですが、僕が流石は国内屈指のロングトレイルだなと思った事は、トレイルを歩いた人の数をカウントする装置がルートの数ヶ所に設置されているという事で、トレイルのどの区間をいつ、どれくらいの人が歩いているか把握できるようになっていました。
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 (唯一国道292号線を横断する区間。道標が丁寧に設置されており道に迷う方が難しいのではないかと思います)

茶屋池に下りた後はルート上で唯一国道を横断する部分のある涌井地区へと車で向かい、その周辺を視察しました。
国道292号線を横断するこの区間一つをとってみても、非常に丁寧に道標が設置されていて、これなら多くの方が安心してトレイルを歩く事が出来るなと感じました。
スノーカントリートレイルとして今すぐにでも見習うべきところ、今すぐには無理でもいずれは見習うべきところ、色々ありますが、一つずつ、少しずつやって行くしかないなと感じました。
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(「まだらお高原・山の家」内部。信越トレイルの最新情報もここでゲットできます。石川弘樹さんのサインもあります)

お昼休憩は斑尾高原の情報発信基地「まだらお高原・山の家」を見学がてら施設内のテラスでいただきました。
こちらの施設は年中無休で営業をしていて、斑尾高原の詳細な情報はもちろんの事、「信越トレイル」の公式マップ等も取り揃えており、トレイルに入る前にこちらに立ち寄り、最新の情報を仕入れてからトレッキングをスタートさせる事も可能です。
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(マップ上に赤ラインで記されたトレイルはペットと歩けるトレイルです。ルールを守って楽しくトレイルを歩きましょう)

午後は先ず「信越五岳トレイルランニングレース」のスタート地点である斑尾高原スキー場に向かい、「信越トレイル」の南の起点「斑尾山」の登山口周辺を視察しました。
この登山口で最も印象的だったのが、「ペットと歩けるトレイルのルール」と書かれた看板が設置されていた事で、人だけでなくペットとトレイルの関わり方もしっかりと考えている事に凄いと思いました。
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(赤池テントサイト。草は短く刈り込まれ快適にテントを張る事が出来ます。テン泊でのスルーハイクしてみたいです)

斑尾山の登山口の次は僕も是非見たかった「信越トレイル」のテントサイトへ向かいました。
信越トレイルテントサイトは今回視察した「赤池テントサイト」の他にも「桂池テントサイト」、「とん平テントサイト」、「野々海高原テントサイト」など数ヶ所に設けられていて、テントを担いでのスルーハイクが可能です。
また、各サイトにはトイレが併設されており、サイトによってはコンセントからモバイルの充電が可能なところもあるそうです。
テントサイトに関しては道標以上に今すぐ何とかなるモノではありませんが、スノーカントリートレイルのルート上にも山小屋や避難小屋、幕営地が無い場所にテントサイトを整備したいという気持ちは強いので、これも一つずつ、少しずつやって行きたいと思います。
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(実は信越トレイルの視察後に高橋まゆみ人形館も見学しました。心温まる作品の数々にメチャクチャ癒されました)

「赤池テントサイト」を視察した後は「希望湖」と書いて「のぞみこ」と読む湖の湖畔トレイルを少し歩いて今回の視察を終えました。
今回、僕は初めて「信越トレイル」を歩きましたが、とても完成されているという印象をもちました。
“綺麗なトレイル”、“しっかりとした道標”、“整備されたテントサイト”と、トレイル自体が完成しているという事はもちろんですが、ガイドブックやマップ、ガイド派遣や体験プログラムといった事までしっかりと完成している事にビックリしました。
スノーカントリートレイルとしては、この完成された素晴らしいロングトレイルをお手本して、少しずつ理想的なロングトレイルに近づいて行けたらいいなと思いますが、スノーカントリートレイルの“らしさ”というものも失わないようにしてより良いトレイルを作っていきたいと思います。
この度はご多忙中にもかかわらず木村宏事務局長はじめ信越トレイルクラブのスタッフの皆様方には大変お世話になりました。
本当にありがとうございました。


2013年9月23日 倉田文裕

Terza gara 「第3回 美ヶ原トレイルラン&ウォーク in ながわ」

日時 2013年8月31日(土)
種目 70kmの部
タイム 9:39’48
総合順位 10位
男女別順位 10位
年代別順位 4位

8月31日、今年3戦目のレース「第3回 美ヶ原トレイルラン&ウォーク in ながわ」に出場してきました。
今年は5月に「第2回新緑の奥武蔵もろやまトレイルラン」と「第1回飯能アルプス~奥武蔵丸山スーパートレイルラン」に出場し、その後、今回のこのレースを前に6月に2レース、7月に1レースに出場を予定していましたが、8月3日にオープニングイベントを行ったスノーカントリートレイルの準備等が忙しく、出場が出来ず約3ヵ月ぶりのレースとなってしまいました。
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 (心も身体も出来ていない状態で臨み全てが散々なレースでしたが、完走出来たのはTevaSphereのおかげです)

「美ヶ原トレイルラン&ウォーク in ながわ」は今回3回目の出場で、昨年、一昨年と2位という結果だったので、年始にたてた今年のこのレースの目標は優勝でした。
しかし、5月のレース以降完全なトレーニング不足で、到底優勝など狙える状態ではなく、完走すら危ういと思っていたので、完走する事を目標にこのレースに出場しました。
「走れてない」→「身体が出来ていない」→「戦える状態じゃない」→「気持ちがついてこない」、結果は才能の無い人間が努力を怠ればこれが妥当という結果で、内容も序盤からトバした訳でもなく、中盤粘った訳でもなく、終盤追い込んだ訳でもなく、パッとしない内容でした。
タイムも昨年より約1時間遅く、良い所を探す方が難しいレースでしたが、唯一悪くないと思った点は完走する事が出来たという事だと思います。
美ヶ原コース
(美ヶ原の台上に一部歩行区間が設けられている特殊なレースですが、皆同じ条件なので全く問題はありません)

午前4時、まだ夜も明けない真っ暗な中レーススタート。
ヘッドライトの灯りを頼りにスキー場のゲレンデをひたすら登ります。
ここである程度この日の自分の体調がどうなのかをチェックしました。
ゲレンデを登りきるといよいよシングルトラックへ入って行きます。
ゼブラ山を通過して作業道へ入るとすぐに林道へと出ます。
その林道を下っている時に今回優勝した栗原孝浩さんと再会し、昨年のこのレース以来の再会だったので、少しの間雑談をしながら一緒に走らせていただきました。
第3回美ヶ原トレイルラン&ウォークinながわ
(結果も内容も散々で、良い所を探す方が難しいレースでしたが、何とか完走という最低限の目標は果たせました)

林道を下りきると再びシングルトラックを登り返し和田峠へ向かってアップダウンのある道を進んでいくのですが、この区間を走っている時にマイペースで走っているのに妙に息苦しく、筋肉が硬直して思うように動かない感じがして「あ~ここまで弱くなっちゃってるか」と自分にガッカリしながら前に進んでいました。
和田峠のエイドステーションを無補給で通過し、再びスキー場のゲレンデを上がって三峰山方面へ向かいます。
ここは本来ならば展望の素晴らしい稜線コースなのですが、この日はガスが濃く、これから向かう稜線はおろか、周辺の景色すら見えない状態でした。
そんな中扉峠のエイドステーションを何とか通過し、このレースの最高地点茶臼山に向かいました。
茶臼山の通過後は牧場内を走って美ヶ原の台上に向かうのですが、牧場内の開けた所は風が非常に強く、ガスも濃い状態だったので大変でした。
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(レース序盤はガスが濃く強風が吹き荒れていましたが、ゴールする頃には気持ちの良い青空が広がっていました)

毎年の事ですが、美ヶ原の台上は歩行区間で、走る事が許されませんので、早歩きで台上の途中に設けられた山本小屋のエイドステーションへと向かいます。
僕はこのエイドステーションも無補給で通過し、ビーナスラインを渡って物見石山へと向かいました。
物見石山周辺はガレた所が多く、その先、稜線から林道に出るまでの間も急傾斜の所に刈り払った笹がそのまま残っている所もあるので、転倒や落石に注意して進んでいかないといけません。
林道へと出た後は和田宿のエイドステーションまで約8km、約1,000mの標高差を林道と一般道を使って下りていきます。
昨年はここを優勝した山田琢也さんと話をしながら一緒に下り、栗原孝浩さんと3人で和田宿のエイドステーションへと向かいましたが、今年は昨年のようなスピードでは走る事が出来なかったので、何人かのランナーに抜かれましたが、無理をせずに完走する事だけを考えて和田宿へと向かいました。
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(「情けないけれども、これが今の僕」と自分に言い聞かせて走りました。現実を受け入れ次へ繋げたいと思います)

和田宿を出た後は水沢峠を越え、集落を通過して長門牧場へ向かうのですが、この長門牧場へと向かう林道の上りが僕はこのレースのコース上で一番キツイ区間だと思います。
と言うのは傾斜の緩い林道が約9km続き、同じような景色の中を延々ダラダラと上っていくので肉体的にも精神的にもキツク感じます。
特に昨年は走って上る事が出来たこの区間を今年はそれが出来なかったので余計キツク感じました。
長い長い林道をやっとの思いで登り終えると、エイドステーションのある長門牧場へと出て中央分水嶺トレイルへと入って行きます。
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 (優勝した栗原孝浩選手とゴール後に少し話をしました。ケガの不安と闘いながらの優勝。本当に素晴らしいです)

長門牧場から次のエイドステーションのある大門峠までは下り基調の林間トレイルを約10km進みます。
比較的アップダウンの少ない区間ですが、最後の最後大門峠の手前にコース最大傾斜の激坂が待っています。
その激坂を越えると最後のエイドステーションのある大門峠ももうすぐで、ここで最後の補給をして残り約12kmの道のりに備えます。
ここから林道や登山道を通って殿城山へと向かう訳ですが、僕はこの殿城山の山頂まで来てようやくあと少しだなと感じます。
最後は北の耳と南の耳を通過し、スタート直後に登ったスキー場のゲレンデを駆け下りてゴールへと向かいます。
ゴールタイムは昨年のそれよりも1時間遅い9時間39分。
何とか無事にゴールする事はできましたが、ここ数年のレースの中で最も情けなさを感じるレースとなってしまいました。
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(自身の走りは最悪でしたが、レースは本当に素晴らしいモノでした。レースに関わった全ての方に感謝いたします)

今回のこの結果と内容に悔しさを感じないと言ったら嘘になりますし、10月の本番レースに向けて何の手応えも得られなかった事には不安を感じていますが、「70kmのレースを闘える状態ではない」というこの現実をしっかりと受け入れ、残り少ない時間の中で「何をすべき」で「何が出来る」のかをしっかりと考えていきたいと思います。
今回、僕自身は招待選手に相応しくない走りをしてしまいましたが、レース自体は今年もとても素晴らしいモノでした。
暑い中レース運営に携わっていただいた全ての皆様と応援をしていただいた全ての皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございました。

2013年9月18日 倉田文裕

Pista di montagna 「PEAKS特別編集 『日本のロングトレイル』 後編」

前回、前々回と2回に亘って8月27日に枻出版社さんから発刊された『日本のロングトレイル』という雑誌の取材でスノーカントリートレイルのルートの一部「小赤沢~三国峠」を歩いた時の事を書きましたが、今回は2泊3日の旅の最終日、3日目の事を書きたいと思います。
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    (今回の旅で僕の足もとを支えてくれたTevaSphereのトレッキングモデル。2013年の秋冬モデルです)

3日目はまず2日目に来た道を登り返して、もう一度平標山山頂に向かいました。
理由は前日に天候が優れず、思うように撮影が行えなかった山頂付近での撮影を再び行う為で、「今日は天気が良くて良い写真が撮れますように!!」と祈りながら再び山頂を目指しました。
しかし、残念ながらこの日も山の神様はご機嫌ななめだったようで、雨は降っていませんでしたが、ガスが濃く、中々撮影の機会は訪れませんでした。CIMG5578
(平標山山頂。山の家で一緒だったご夫婦がガスが晴れるのを待って2人仲良く座っています。素敵なご夫婦でした)

それでも小一時間ほど同じ場所で粘ったところ、我々の願いが神様に届いたのか少しずつガスが取れてきました。
快晴で絶好の撮影日和という訳にはいきませんでしたが、何とか出版社の泥谷さんとカメラマンの後藤さんからオッケーが貰える写真を撮る事が出来、気持ち良く平標山を後にする事が出来ました。CIMG5591
(平標山頂付近から平標山の家の方を見た写真。奥の方には大源太山、更に奥の方には三国山が見えています)

再び「平標山の家」まで戻り、美味しい湧き水を補給しながら一休み、休憩後、当初の予定通り大源太山方面に向かって歩きはじめました。
この頃には空はすっかり晴れわたり、夏らしい暑さと日差しが戻って来ました。
小屋から大源太山へと向かう道は展望の良い稜線上にあり、振り返ると2日目に登ってきた平標山登山道のある稜線や平標山、そして平標山から山の家へとつながる尾根上の登山道をハッキリと見る事が出来ます。
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(平標山の家付近からの眺め。平標山のお隣りにある「仙ノ倉山」は日本二百名山の一つで標高2,026mあります)

大源太山の山頂はスノーカントリートレイルのルート上には含まれていませんが、ルートからすぐ近くの所にあり、山頂とその付近からの景色が素晴らしいので、時間と体力に余裕のある方は是非立ち寄っていただきたいポイントです。
大源太山から先、三国山までの間は三角山のピークを含む2、3回のアップダウンを繰り返します。
この区間も後ろを振り返ると平標山と平標山へと到る稜線が綺麗に見え、「あ~、あそこから歩いてきたんだな」という達成感みたいなものを感じられます。CIMG5592
(山の家にある鐘を鳴らす泥谷さん。とてもいい音がしました。奥の方には平標山の雄大な姿も見る事が出来ます)

実は大源太山同様、三国山の山頂もスノーカントリートレイルのルートは通っていません。
ただ、ここもルートからすぐ近くの所にあり、山頂を経由してもスノーカントリートレイルのルートに戻る事が出来るので是非立ち寄っていただき、山頂から南面に広がる綺麗な景色を眺めてもらいたいと思います。
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(「平標山の小屋」から大源太山へと向かう途中、後ろを振り返ると自分達が辿ってきたルートがハッキリと見えます)

三国山の山頂から三国峠へと下りる道も平標山の山頂から平標山の家へと下りる登山道のような綺麗に整備された木道が続きます。
疲労した脚にはこの木道の下りが堪えるかもしれませんが、下を見下ろすと、これから向かう三国峠にある神社の社殿がハッキリと見え、周辺を見渡すと峠から稲包山へと続く綺麗な稜線やグリーンシーズンの苗場スキー場などが見えるので、疲労を忘れて気持ち良く下れると思います。
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(三国山山頂付近の登山道。この付近の木道は斜面の方に傾いていますので踏み外さないよう気を付けて下さい)

今回初めて知った事なのですが、三国峠にある神社は社殿の一部が解放されていて室内で休めるようになっています。
今年の夏は例年にない暑さで、例え標高の高い所でも熱中症の危険性があるくらいだったので、こういう配慮は非常にありがたいと感じました。
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 (三国峠にある御坂三社神社。とても立派な鳥居に綺麗な社殿で、社殿の一部は休憩所として開放されています)

この三国峠からスノーカントリートレイルのルートは三国街道に合流します。
三国街道は関東と越後を結ぶ交通路として極めて古くから利用されており、上杉謙信の関東遠征の際にも利用されました。
現在はその大部分が国道17号となっていますが、三国峠から大般若塚にかけての区間には「三坂の茶屋跡」や「長岡藩士の墓」など街道の歴史に触れる事が出来るポイントが幾つかあり、まだ沢山の人がこの道を行き来していた当時の様子を感じながら歩ける区間になっています。
旧三国街道・三国峠を歩こう!
 (「赤谷プロジェクト」の方々が制作した「旧三国街道」の情報満載マップ。このマップのダウンロードはこちらから)

今回の旅では大般若塚の分岐を法師温泉の方へ下り、そのバス停で旅を終えましたが、スノーカントリートレイルのルートとしては法師温泉には下りずに猿ヶ京の方に向かうルートになっていますので、時間と体力に余裕がある方は猿ヶ京温泉まで歩くのも良いかと思います。
旧三国街道・三国峠を歩こう!MAP
 (このマップには「注意したい森の動物」の情報や「三国峠」と「旧三国街道」の歴史に関する事も書かれています)

三国峠から先、猿ヶ京へ下りるルートも、大般若塚の分岐から永井宿の方へ下りるルートも、今回歩いた法師温泉の方へ下りるルートも、どのルートも快適な登山道なのですが、一つだけ注意していただきたい事があります。
それは「長岡藩士の墓」よりも低標高の場所にヤマビルが生息しているという事で、靴に虫よけスプレー等をかけ、ズボンの裾を厚手の靴下の中に入れて靴を履くなどの予防をしていただく必要があります。
活動期は5月頃~10月頃にかけてで、雨の後は特に注意が必要です。
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(1966年創業の和菓子製造直売のお店「新月」さん。山を歩いた後にいただいた「峠の酒まんじゅう」は最高でした)

ヒルの話はこの位にして、山を降りた後と言えば、やっぱり美味しい「食べ物」と気持ちの良い「温泉」だと思います。
今回の旅のゴールである法師温泉の「長寿館」には国登録有形文化財に指定されている「法師乃湯」をはじめ、「玉城乃湯」や「長寿乃湯」という名湯があります。
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(猿ヶ京温泉に古くから伝えられる真のパワースポット「縁結びの滝」。詳しくはこちらのホームページをご覧ください)

猿ヶ京温泉にはお食事も充実した日帰り温泉「まんてん星の湯」や猿ヶ京名物“峠の酒まんじゅう”を販売している和菓子製造直売のお店「新月」等があり、温泉で癒され、食事で回復し、お土産で〆るという山を降りた後の理想的な流れをこの場所で過ごしていただければと思います。
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『日本のロングトレイル』。日本全国の人気トレイルの中でスノーカントリートレイルが一番最初に紹介されています)

今回のこの2泊3日の旅、最初は1回のブログで書ききるつもりでしたが、結局、「前編」「中編」「後編」の3部作となってしまいました。
前編でも書きましたが、今回の旅の詳しい情報は枻出版社さんから8月27日に発刊されたPEAKS特別編集『日本のロングトレイル』という雑誌に掲載されていますので、是非そちらをご覧いただければと思います。
今回お世話になった枻出版社の泥谷さん、同社カメラマンの後藤さん、コロンビアスポーツウェアジャパン久野さん、どうもありがとうございました。

2013年9月13日 倉田文裕

Pista di montagna 「PEAKS特別編集 『日本のロングトレイル』 中編」

前回のブログでは8月27日に枻出版社さんから発刊された『日本のロングトレイル』という雑誌の中でスノーカントリートレイルの事が紹介されている事とその雑誌の取材でスノーカントリートレイルのルートの一部「小赤沢~三国峠」までを2泊3日で歩いた時の事を少し書きましたが、今回はその旅の続きで、2日目の事を書きたいと思います。
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 (清津川に架かる橋「小日橋」。ここまでマイカー、タクシーが入れます。良く見ると「→赤♨」という文字が見えます)

初日は小赤沢から苗場山に登って、昌次新道を下り、赤湯温泉「山口館」に宿泊。
多少雨には降られましたがトレッキングも撮影も滞りなく進みました。
2日目の朝は朝食前に再び温泉に浸かり気持ち良く目を覚ましてから美味しい朝食をいただいて出発しました。
2日目の行程は赤湯温泉から火打峠へと向かい、松手山経由で平標山へと登り、山頂から三国峠方面へ下りて「平標山の家」に泊まるという行程でした。
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 (火打峠の平標登山口から「松手山」までは急坂が続きます。松手山まで頑張れば一気に前方の視界が開けます)

この日も初日同様天気予報は曇りか雨という事で良いとは言えず、夕方、雷と夕立が心配だったので、夕方前に「平標山の家」に着けるよう早目に赤湯温泉を出発しました。
赤湯温泉から火打峠までは、まず鷹ノ巣峠経由の登山道を歩き、棒沢橋を渡ってからはしばらく林道を歩きます。
この林道の途中に「小日橋」という名の橋があり、ここまで車で入ってくる事が出来てタクシーもこの場所まで呼ぶ事が出来ます。
更にこの林道をしばらく進むと左側に登山道へと下りる分岐が現れるのでそちらに進みます。
一度沢へと下りて渡渉し、少し登って小さな尾根へと出たら再びトレイルを下って苗場スキー場の北側、グランドがある所に出ます。
この間、苗場スキー場のリフトの管理道や林道、「苗場インデペンデンス・ボードウォーク」の木道等と合流したり交差したりする所があるので、迷い込まないように注意が必要です。
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(シモツケソウ【下野草】。松手山から平標山までの間は高山植物が豊富で、花畑のようになっている所もあります)

グランドと苗場インデペンデンス・ボードウォークの木道の間を真っ直ぐに進むと浅貝川に架かる橋があり、その橋を渡ります。
橋を渡って少し行くと激坂が待っており、その坂を越えると火打峠へと到着します。
火打峠の平標登山口には駐車場があり、トイレと飲み物の自動販売機もあります。
また、近くには「元橋」と「平標登山口」というバス停があるので、ここでトレッキングを終える事も、ここからトレッキングを開始する事も出来ます。
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(松手山から平標山へと続く道は展望の良い尾根上を通ります。天気が良ければ下の写真の様な景色を望めます)

スノーカントリートレイルのルートはこの火打峠から松手山を経由して平標山へと登り、山頂から平標山の家に下りていくというルートですが、松手山から上は樹林帯を抜け、雷などから身を守るものが無くなってしまうので、もし天候が心配な場合はエスケープルートとして火打峠から直接「平標山の家」に向かう平元新道を通るという選択をしていただいた方が良いかと思います。
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(平標山頂付近から松手山方向を見た写真。晴れた日の尾根道からの眺めは最高で一見の価値があると思います)

火打峠から松手山までの間は良く整備された木段の道が続きますが、傾斜がキツく決して楽ではなく、我々も汗だくになって登りました。
ただ、松手山を越えると視界が開け傾斜も緩くなるので精神的にも肉体的にも比較的楽になります。
また、松手山から平標山にかけての登山道は非常に展望の良い尾根上にある為、周辺の景色を楽しみながら登る事が出来ます。
残念ながらこの日はガスが濃くて偶にしか景色を見る事は出来ませんでしたが、草原状の尾根道には沢山の高山植物が咲いていて“高山植物の花畑”みたいになっていたので十分我々の目を楽しませてくれました。
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(平標山山頂から平標山の家へと向かう登山道はご覧の様な木段が整備されていてとても歩きやすくなっています)

撮影の方ですが、本来ならばキレイな景色が望める場所で少し粘って機会をうかがっていましたが、ガスは晴れる事なく中々その機会は訪れず、この日は撮影を断念して平標山頂へと向かい、山頂で一休みした後に「平標山の家」へと向かいました。
山頂から小屋へと向かう道は木段状で歩きやすく、前方にはこの日の宿である「平標山の家」や翌日に歩く稜線、更には大源太山などを一望する事が出来、左後方を振り返ると日本200名山の「仙ノ倉山」を望む事が出来ます。
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(「平標山の家」。向かって左側が有人の山小屋、右側が無人の山小屋です。幕営地もあるのでテント泊も可能です)

この日は夕立に降られる事も、雷に脅かされる事も無く、宿の「平標山の家」に到着。
流石にここには温泉は無く、初日のように“温泉で疲れを癒して”という訳にはいきませんでしたが、ボディーシートで身体を拭いてサッパリしてから各々宿でゆっくりそれぞれの時間を過ごしました。
平標山の家は有人の小屋の横に無人の小屋が併設されていて、有人小屋での食事付きの宿泊の他に、無人小屋での素泊まり、幕営地でのテント泊も可能です。
我々は有人小屋に食事付きで宿泊したのですが、夕飯も朝食もとても美味しく、小屋の内部もとても清潔で快適に過ごす事が出来ました。
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(「平標山の家」で飲む事が出来る湧き水。正に“山の恵”と呼ぶに相応しい湧き水で、冷たくてとても美味しいです)

ここの山小屋も今回初めて泊まったのですが、小屋の前の流しの蛇口から止めどなく流れ出ている湧き水が冷たくて本当に美味しく、ここに来る度に毎回お腹がガバガバになるくらい頂いています。
越後駒ヶ岳の「駒の小屋」のお水も大変美味しいですが、ここのお水も負けないくらい美味しいので、是非ここのお水で美味しいコーヒーを淹れて飲んでみて下さい。
今回の中編も大分長文になってしまいましたが、次回は旅の最終日、3日目のトレッキングのついて書きたいと思います。

2013年9月9日 倉田文裕

Pista di montagna 「PEAKS特別編集 『日本のロングトレイル』 前編」

8月27日に枻出版社さんからPEAKS特別編集『日本のロングトレイル』という雑誌が発売されましたが、我らがスノーカントリートレイルもその中の一つとして紹介をしていただいています。
僕もスノーカントリートレイルのコースディレクターとしてルートの一部分を紹介する企画に関わらせていただいたのですが、今回はその時の取材で長野県栄村の小赤沢から群馬県みなかみ町の三国峠までを2泊3日で歩いた時の事を書きたいと思います。
今回歩いた所の詳しい情報はプロのライターの方が書いた文章とプロのカメラマンの方が撮った写真が載っている『日本のロングトレイル』を見ていただいた方が僕の書いた文章と僕の撮った写真なんかよりも数倍わかりやすいので、ここでは僕がこの2泊3日の旅の最中に感じた事、思った事を簡単に書きたいと思います。
日本のロングトレイル(表紙)
(『日本のロングトレイル』。日本全国の人気トレイルの中でスノーカントリートレイルが一番最初に紹介されています)

一緒に歩いたメンバーは枻出版社の泥谷さんと同社カメラマンの後藤さん、コロンビアスポーツウェアジャパンの久野さんの3名で、初日は小赤沢~苗場山~赤湯温泉、2日目は赤湯温泉~平標山~平標山の家、3日目は平標山の家~三国山~三国峠というスケジュールで歩きました。
初日、まだ夜が明けていない真っ暗な時間に僕以外のお三方が宿泊をしていた群馬県みなかみ町にあるカッパCLUBを出発。
スノーカントリートレイルの実行委員長であるカッパCLUBの小橋研二社長に苗場山の登山口のある長野県栄村の小赤沢まで送迎をしていただきました。
小赤沢に着く頃にはすっかり夜は明け、三合目登山口の駐車場に着いた時には空は完全に明るくなっていました。
天気は決して良いとは言えませんでしたが、山登りをするには暑すぎず寒すぎずで快適な気候でした。
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 (池塘が点在する苗場山山頂付近の美しい大湿原。残念ながら今回青空は見えませんでしたがとても綺麗でした)

苗場山三合目登山口から2泊3日の旅のスタート。
ゆっくり歩きながら要所要所で撮影をするという感じで順調に標高を上げ、お昼前には山頂の南西麓に広がる大湿原に到着しました。
雨が降ったり止んだりで“絶好の撮影日和”という感じではありませんでしたが、時折雲間から太陽の光や青空が顔を出す瞬間もあって撮影はそういうタイミングを狙って行われました。
昼食は雨が降っていた事もあって苗場山山頂のすぐ近くにある有人の山小屋「苗場山自然体験交流センター」の中でとりました。
僕は初めてこの山小屋に入ったのですが、休憩所も広くてゆったり出来、定員100名の宿泊施設を完備しているので大人数でのトレッキングや林間学校での宿泊にとても良さそうだと思いました。
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(苗場山自然体験交流センターの客室。入口に貼られた手書きの「山小屋指南」がアットホームでとても素敵でした)

撮影しつつの昼食休憩を済ませて、この日の宿、赤湯温泉「山口館」に向け再出発。
昌次新道を通って赤湯温泉へと下りていくのですが、小赤沢のルートに比べ、こちらの昌次新道はメジャーなルートでは無い為、滅多に人とすれ違う事はありません。
現にこの時も苗場山山頂から赤湯温泉へと下る途中、一人の登山者とも出会いませんでした。
ただ、人が滅多に通らないからと言って登山道も荒れ果てているかと言うとそんな事はなく、しっかりとした登山道が山頂から赤湯温泉まで続きます。
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(山口館はランプの宿と呼ばれています。その名の通り照明は全てランプで、とても良い雰囲気を醸し出しています)

撮影も下山も順調でしたが、夕方になる少し前くらいから再び雨が降り出し、しかも今度は結構強い雨で、雷も鳴りだしたので、少しペースを上げて急いで赤湯温泉へと向かいました。
運良く雨もすぐに弱くなり、雷も遠ざかっていき、赤湯温泉に到着した時には小雨がパラつく程度になっていたので助かりました。
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(3つの露天風呂の一つ「玉子の湯」。赤湯の由来となった温泉です。解放感抜群で非常に気持ちの良い温泉です)

赤湯温泉「山口館」は車では行く事の出来ない正に秘湯と呼ぶに相応しい温泉宿で、現在は赤湯林道の小日橋という橋の手前まで車で入る事は可能ですが、そこから標高差250mの鷹ノ巣峠を越えて、約2時間の山歩きをしないと辿りつく事が出来ません。
そんな秘湯赤湯温泉「山口館」に今回初めて泊まったわけですが、僕の個人的な感想としては食事も、部屋も、温泉もどれもとても良くて大満足な宿でした。
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(ピンボケしてしまってますが、この日の夜の夕食です。これにご飯と味噌汁が付いて大満足の味とボリュームです)

「ランプの宿」という名の通り部屋の灯りはランプのみで、ランプ特有の優しくて柔らかい光に独特の居心地の良さを感じました。
食事は現地の山菜を主とした献立になっており、常に旬の食材が食卓に上がります。
そして一番重要な温泉ですが、「薬師湯」・「玉子の湯」・「青湯(日中は女性専用)」の3つの露天風呂が川沿いにあります。
泉質はそれぞれ違い、源泉かけ流しの湯はとても人気があります。
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(昼間は女性専用の露天風呂「青湯」。囲いのある露天風呂で女性の方も安心して入ることの出来る露天風呂です)

この日は平日だったので我々しか宿泊しておらず、宿のご主人に許可を得て日中は女性専用となっている「青湯」にも入る事が出来て本当にラッキーでした。
今回は夜、雨が降っていたので、満天の星空を眺めながらの露天風呂という体験をする事は出来ませんでしたが、いつかこの“最高の体験”が出来ればいいなと思いました。
予定では今回のこの旅について1回のブログで書ききる予定でしたが、ちょっと一回のブログでは書ききれないので「前編」「中編」「後編」の3回に分けて、次回のブログでは2日目の事を書きたいと思います。

2013年9月4日 倉田文裕

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