2013年10月

Quinta gara 「第21回 日本山岳耐久レース 長谷川恒夫男CUP」

日時 2013年10月13日(日)、14日(祝)
種目 男子総合
タイム 第二関門 DNF
順位 記録なし

10月13日、「第21回日本山岳耐久レース 長谷川恒男CUP」、通称ハセツネに出場してきました。
結果はレース前から痛めていた右膝のケガが悪化してしまい、第2関門の月夜見山第2駐車場で棄権、ハセツネ出場7回目にして初めて途中リタイヤと言う形になってしまいました。
先ず、応援をしていただいた全ての皆様にこのような結果になってしまった事をお詫びしたいと思います。
申し訳ございませんでした。
ただ、僕自身はこのような状態になる事をある程度予想していたので、レースを終えた今の正直な感想としては、「今の自分に相応しい当たり前の結果になった」という感じです。
ハセツネ2013リザルト
   (「第21回日本山岳耐久レース」リザルト。来年はこのリザルトにしっかりと名前を残せるように頑張ります)

昨年までは毎年このレースに臨むにあたって、その前の年の自分よりも何かしら成長しているという、ある程度の手応えがあって出場していました。
しかし、今年に関しては3月のケガや7月、8月のスノーカントリートレイルの準備等で十分なトレーニングが出来ず、8月末に出場した美ヶ原のレースでも、ハセツネの2週間前に出場した裏磐梯のレースでも手応えを掴む事はおろか、逆に自信を失うような結果、内容になってしまっていたので、今年のハセツネに関しては、自分の成長が感じられないまま、何の手応えも無く出場するという状態でした。
実際、コンディションも身体の強さと言う意味でも、昨年のそれに比べ今年は大分劣っていたので、レース前には「昨年の自分勝つ」という目標を立てていましたが、今思えばその目標すら無謀なモノであったのかなと思います。
ただ、レースに出る以上は昨年の自分に負けたくはないので、昨年の自分を上回る結果を求めるというのは至極当然の事で、どんなに自分の状態が悪くても「昨年の自分に勝つ」という目標を立ててレースに出場した事は間違いではなかったと、今でも思っています。
ハセツネ2013完走率
   (今回のレースの出走完走数。2,000名どころか2,500名以上が走っている事を知りビックリしました)

「対昨年の自分」ではなく「対今の自分」に気持ちを切り替えなければと感じたのはスタートして間もなく、3kmちょっと走った所の今熊神社の上りを上っている時でした。
理由は3kmちょっと走ってきて体が温まってきても重いままで、息も上がり、全く安定しない為、このままペースを落とさないと確実に潰れると思ったからで、不本意ではありましたが、この時に「昨年の自分と戦う」という事から、「今の自分と戦う」という事に気持ちを切り替えました。
昨年はスタートから第一関門の浅間峠までの間を2:29’09で走りましたが、今年はそれよりも約10分遅い、2時間40分近くかかってしまいました。
この浅間峠までの幾つかある峠やピークを昨年はどのくらいのタイムで通過したのかというのをイチイチ覚えてはいませんが、昨年と比べてもペースがどうなのかというのは、その時の走りのスピードから何となく感覚でわかります。
なので、今年はこのスタートから浅間峠までの間を2時間30分では走れない事も、2時間40分くらいかかるであろうという事もある程度は予想していました。
ただ、まだこの時は「この後調子が上がってきて、第1関門から第2関門の間でここまでの遅れを挽回出来るかもしれない」という淡い期待を持ち合わせていたので、昨年よりも10分近く遅いこのタイムに焦る事も落胆する事もありませんでした。
2013 日本山岳耐久レース①
(予備関門の入山峠の手前。今熊山へと向かう登りで「対昨年の自分」から「対今の自分」に気持ちを切替えました)

体調に異変を感じたのは第1関門の浅間峠を過ぎてから土俵岳の手前まで続く比較的アップダウンの少ない、傾斜の緩い所を走っている時でした。
ここまでしっかり給水、補給をしてきましたが、急に嘔吐を催し、気分も悪くなってしまい、遅かったペースを更に遅くしないと前に進めない状態になってしまいました。
ただ、ここで一度でも立ち止まってしまうと、肉体的にも精神的にも、もう立ち直れなくなってしまうと思ったので、気持ち悪くて立ち止まりたいという気持ちをグッと我慢して、ゆっくりですが少しずつ前へ前へと進みました。
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(市道山手前。一気に下り、一気に上るこの区間がいつもよりもキツく感じました。写真:疾走写真館ハセツネ別館様)

結局、土俵岳を過ぎて三頭山の手前、西原峠へと向かうまでの間に2回ほど吐き、少し気分は良くなったのですが、相変わらずペースは上がらず、そのまま槇寄山、三頭山へと向かう急登の上り坂へと突入して行きました。
「こんなスローペースでしか前に進めない自分」、「この時点でまだこんな場所にいる自分」、「昨年の自分と勝負すら出来ない今の自分」、急な坂を登りながら色んな面で不甲斐ない自分に腹が立ち、最初は怒りのような感情が湧き上がってきたのですが、徐々にその感情は“怒り”から“情けない”という感情に変わっていき、最終的には涙が込み上げてきて、恥かしながら暫くの間涙を流しながら山を登っていました。
僕を抜いていくランナーの方やレーススタッフの皆さん、トレイル脇で応援をして下さっている観衆の皆さんに泣きながら走っている事を悟られたくなかったので、気持ちが落ち着くまでの間、サングラスをかけて目を隠していましたが、もうサングラスが必要ない、太陽も沈みかけた薄暗い時間に、ヘッドライトではなくサングラスを装着している僕を見て違和感を感じた方もいらっしゃったかもしれません。
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(フォトグラファーの藤巻翔さんにいただいた写真。ここから数百メートル進むと第一関門の「浅間峠」に到着します)

いつも以上にキツく感じた三頭山への急登をやっとの思いで登り終えると、山頂から鞘口峠までの間はしばらく重力に任せて走る事が出来る下りが続くので、少しホッとしていました。
しかしホッとしたのも束の間、下り始めて間もなく、今度は今レースリタイヤの直接の原因となった右ヒザの痛みとの戦いが待っていました。
右ヒザはレース前から既に痛めていたのですが、この三頭山から鞘口峠へと向かう下りで更に悪化してしまい、左足でかばってでないと走れない位になってしまいました。
僕がリタイヤを決意したのもこの三頭山から鞘口峠へと下っている最中で、第2関門でリタイヤする事が最良の選択であるという判断をしました。
あの時点で、もし、無理をすればトップ20を狙えるとか、昨年の自分を上回れるという可能性があったのならば間違いなく無理をしたと思いますが、ケガを悪化させてまで無茶をする理由が既にこの時何も見つからなかったので、僕は第2関門でリタイヤをするという決断を下しました。
2013 日本山岳耐久レース②
(今回のレースでは苦しい表情や泣きっ面といった恥ずかしい面を隠す為に長い時間サングラスをかけていました)

第2関門の月夜見山第2駐車場に何時到着したか覚えていませんが、僕の今年の日本山岳耐久レースはこの月夜見山第2駐車場への到着と同時に終了しました。
今回、ハセツネ出場7回目にして初めて途中棄権という結果に終わり、過去最も不完全燃焼なレースになってしまいましたが、正直、今の自分にはピッタリの結果が出て良かったと思いました。
とにかく今の自分は完全にトレーニング不足で、70kmを戦える身体ではない事は自分でも良くわかっていたので、変に中途半端な結果を残して、勘違いをしてしまうよりは、よっぽど良かったのではないかと思っています。
レース前は何の手応えもないスカスカの状態で臨んだ今回のハセツネでしたが、レース後には、今の自分に根本的に足りないモノ、それを得るためにこれからやるべき事、それを得た先に見えてくるモノ、それがハッキリとわかったので、非常に得るモノの大きい、とても価値のあるレースになったと思っています。
今回、多くの皆様から応援をいただいたにもかかわらず、このような結果になってしまった事を先ずお詫びしなければなりませんが、お陰様でこのレースでまた多くの事を学ぶ事が出来ました。
この経験を無駄にしない為にも、これから一日一日を大事にして、来年の春、新たなシーズンを最高の形で迎えられるよう頑張っていきたいと思いますので、皆様、これからも私倉田文裕を何卒宜しくお願い致します。

2013年10月25日 倉田文裕

Quarta gara 「裏磐梯山岳耐久レース2013」

日時 2013年9月28日(土)
種目 男子ショート21.4km
タイム 2:10’27
男子順位 1位
総合順位 1位

9月28日、今年4戦目のレース「裏磐梯山岳耐久レース2013」に出場してきました。
このレースには昨年2012年と3年前の2010年にも出場しており、今回で3回目の出場となりました。
昨年までこのレースは11月のアタマに開催されていたので、ハセツネの後にシーズンの締めとして出場していましたが、今年は9月の終わり、ハセツネの2週間前の開催だったので、調整と言う位置づけで出場しました。
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(本当はロングコースに出場したかったのですが、ハセツネの事を考えて今回はショートコースの方に出場しました)

昨年、このレースは1つの距離しかありませんでしたが、今年はロングコース(68.9km)とショートコース(21.4km)の2つの距離を選べるようになりました。
3年前は36km、昨年は49.2kmという距離を走ったので、本当は今年も68.9kmのロングコースを走りたかったのですが、2週間後に70km超のレース控えている中、この距離を走る事に不安があったので、21.4kmのショートコースの方に出場する事にしました。
裏磐梯山岳耐久レース2013 パンフレット
(裏磐梯山岳耐久レース2013のパンフレット。写真向かって右側の赤いウインドブレーカーを着ているのが僕です)

昨年もこのブログで書きましたが、このレースは少し特殊で、コース案内板もエイドステーションも設置されておらず、選手が自分で必要な装備を全て背負い、自分で地図を読みながら進みます。
「自然の中での遊びは自己責任」、「山のマナーやルールを知らない、リスク管理意識の低いトレイルランナーを生み出さない」、そんな素晴らしいコンセプトのもとに開催されている非常に男前なレースです。
裏磐梯山岳耐久レース ショートコース概要
 (レース前に大会公式ホームページでこのような「コースの概要」が発表され、参加者は自分で地図を準備します)

レースで使用する地図は、大会ホームページで発表されるコース概要をもとに参加者が自分で用意します。
全コースを迷うことなく完走できる地図であればどんなものでも良く、ロングコースに関してはレース前日に行われるコースガイダンスの中でその詳細が発表されます。
僕の出場したショートコースについてはコースガイダンスはなく、28日の朝7:00に受付が始まり、そのまま8:30にレースがスタートして制限時間の5時間後、13:30には全てのスケジュールが終了します。
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(ショートコースのスタート前。この日は暑くなく寒くもない絶好のコンディションで、これ以上ないトレラン日和でした)

義務装備は水1ℓ以上、行動食、防寒具、地図、コンパス、携帯電話の6点で、スタート前とフィニッシュ後の計2回装備チェックが行われます。
ロングコースの装備は水が2ℓ以上になり、ライトが加わります。
地図とコンパスが義務装備に含まれる少し特殊なレース故、毎年参加者が少なく、トップ選手も出てこないレースですが、裏磐梯を愛する個人・企業の協力の下、スタッフの皆さんも“裏磐梯愛”を持って運営にあたっていらっしゃる事が伝わってくるので、毎年「今年も裏磐梯に行こう」という気持ちにさせてくれる、色んな意味で心温まる、愛のあるレースだと思います。
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(今年もいこいの森グリーンフィールドにトップで帰って来る事が出来ました。ただ大事なのは結果ではなく内容です)

選手受付は「ラビスパ裏磐梯」というリゾート施設のすぐ隣にある「いこいの森グリーンフィールド」で7:00から始まり、8:10から義務装備のチェック、8:20から開会式があり、8:30丁度にレースがスタートします。
開会式の中でスタッフの方からショートコースは迷う方が難しいという説明がありましたが、実際その通りで、地図とコンパスを持っていれば問題なくゴールまで戻って来れるであろうというようなシンプルなコース設定でした。
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(今回のレースも僕の足元はTevaSphere。軽さ、グリップ、機能、全てを兼ね備えた完璧なシューズだと思います)

今回はシーズンの締めではなく、調整という位置づけでこのレースに出場したので、過去2回出場した時以上に明確なテーマを持って走る必要がありました。
そこで今回掲げたテーマは「今の自分の状態を知る為に脚と心臓をいじめる」という事で、とにかく最初から最後まで出来るだけトバすという事を意識しました。
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 (ショートコース表彰式。賞状と一緒に「コロンビアスポーツウェアジャパン」のトレッキングパンツをいただきました)

午前8:30、「いこいの森グリーンフィールド」をスタート、「ラビスパ裏磐梯」の南側を通って「雄国山」へと向かう登山道に入っていきます。
「雄国山」へと向かう登山道は基本上り基調で石がゴツゴツしている所はあるものの、綺麗なシングルトラックが続きます。
この上りを上っている時は身体が重く、息も上がってペースが上がらないという印象で、後ろには2位の人がピッタリと付いてくるのがわかりました。
ここでペースを落とすとレース前に掲げたテーマが無駄になってしまうので、正直きつかったのですが、ペースを保つように努力しました。
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(今年もスタッフの皆様のお陰で気持ち良く走る事が出来ました。レースに携わった全ての皆様に感謝申し上げます)

「雄国山」の山頂を越えると「雄国沼」に向かって下りが始まります。
2位の方は下りが苦手らしく、下りに入った途端大分離れたので、僕は下りも出来る限りトバしました。
「雄国沼」の湖畔まで下った後は沼の周りを一周して再び同じところに戻って来ます。
沼の周りを時計回りに一周するトレイルは、最初フラットなトレイルが続き、その後「猫石」に向かって一気に標高を上げ、「猫石」通過後はトレイルを少し下って、途中から林道に合流し、ほぼ水平移動で「金沢峠」の方に向かいます。
ゲートを通過すると、そこで林道は終わり、舗装路が始まって、その舗装路を進むと「金沢峠」に到着します。
「金沢峠」はショートコースで唯一の関門が設置されており、ここを12:00までに通過しないと、そこでレースが終わってしまいます。
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(レース後少しだけ五色沼に立ち寄りました。五色沼最大の毘沙門沼からは磐梯山の荒々しい火口壁が見えました)

「金沢峠」で通過チェックを受けた後は林道を「雄国沼」の方に向かって進み、先程「雄国山」から下ってきたトレイルを再び上って山頂を目指します。
この日は風もなく、青空が広がる最高の天気で、「雄国山」の山頂へと向かうトレイルから眺める「雄国沼」の景色は最高でした。
この「雄国山」にトップで到着した時点で勝ちは確信しましたが、大事なのは結果ではなく内容だったので、この「雄国山」の山頂からゴールの「いこいの森グリーンフィールド」まで下る最後の下りも気を抜く事なく、出来る限りトバして、脚をいじめぬく事を意識しました。
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(10月の頭に諏訪大社の上社本宮を訪れ「克栗お守り」という「スポーツ選手必勝御守」を新たに授かってきました)

21kmのレースだったので、2時間10分以内でのゴールを目標にしていたのですが、フィニッシュタイムは2時間10分27秒で、2時間10分をきる事は出来ませんでした。
ただ、この目標タイムは「21」という数字から適当に考えた何の根拠もないタイムだったので、特に気になりませんでしたが、今回のレースは「今の自分の状態を知る為に脚と心臓をいじめる」というテーマで臨んだレースだったので、そういう意味で今回のレースを振り返ると、正直ガッカリな内容でした。
感触としては70kmのレースを戦える身体ではないという感触で、脚も心臓も昨年の自分より弱いと感じました。
ただ、こればっかりは数ヶ月のトレーニングの積み重ねで強くしていくもので、1週間やそこらで何とかなるものではないので、“身体が弱いなら気持ちを強く”という意識で頑張らなければいけないと思いました。
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(今年も僕のハセツネでの目標は前の年の自分に勝つことです。状態は良いとは言えませんが精一杯頑張ります)

明日出場するハセツネというレースは、唯一「対自分」という意識で臨める、僕にとってはとても大切で、特別なレースなので、昨年の自分に負けないよう、今の自分自身と戦い、納得のいくレースにしたいと思います。
いつの間にか話がハセツネの事になってしまいましたが、今年もこの「裏磐梯山岳耐久レース」はスタッフの方も、地元の方も、コースもとても温かくて最高のレースだと思いました。
来年は是非、ロングコースの方を走りたいと思います。
レースに携わった全ての皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございました。

2013年10月12日 倉田文裕

Pista di montagna 「峠越えの古道を歩く1泊2日の旅 ~清水街道~」

前回、「谷川岳馬蹄形一周の旅」というタイトルで「谷川連峰馬蹄形縦走路」を一周した時の事を書きましたが、今回は9月14、15日にスノーカントリートレイルのツアーで新潟県南魚沼市の清水から清水峠を越えて群馬県みなかみ町の土合まで歩いた時の事を書きたいと思います。
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(出発前の集合写真。車は清水集落までしか入れないので、ここでマイクロバスを降り清水峠に向け歩き始めました)

9月14日は朝7時45分にJR越後湯沢駅の「雪国観光舎」に集合、マイクロバスに乗って南魚沼市清水まで移動しました。
清水集落から「清水峠」へと向かうルートは「十五里尾根コース」と「井坪坂コース」の2つがありますが、どちらのコースも登山口まで車で行く事は出来ないので、清水集落で車を降りて徒歩で登山口まで向かう必要があります。
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(工事用道路と国道291号線の分岐点。旧国道はうっすらと跡が見えますが、整備されていないので通行不可です)

車を降りたところで出発前の記念撮影をし、午前9時に清水集落を出発、スノーカントリートレイルのルートである「井坪坂コース」を通り、まずは「清水峠」を目指して歩きはじめました。
清水集落から「井坪坂コース」の登山口までの間は檜倉沢砂防施設の工事用道路を通ります。
工事用車両が通る道を歩くので通行には十分注意が必要で、工事箇所付近を通行する場合は職員の方の指示に従う必要があります。
この日は土曜日という事もあり、工事車両の通行はありませんでしたが、この区間を通過する際には工事車両や工事関係者の方の邪魔にならないように歩かなくてはなりません。
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(水場のパイプを直す田中正人さん。日本アドベンチャーレース界のパイオニア“世界の田中”は修理もしちゃいます)

清水集落から工事用道路をしばらく進むと国道291号線との分岐点に到着します。
この国道291号線と言うのは旧国道(清水街道)の事で今は全く整備されていないので通行止めになっています。
分岐と言っても工事用道路は舗装路で、旧国道は草がボーボーの林道という感じなので、道標も立っていますし、素直に舗装路を進めば良いので、迷う事はまずないかと思います。
そのまま工事用道路を少し進むと今度は美味しい水が湧き出る水場に到着します。
ここは正に湧き出ているという表現がピッタリの水場で、冷たくてとても美味しい水なので、是非ここの水場で水分を補給して「清水峠」へと向かっていただきたいと思います。
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(上越のマッターホルンの異名を持つ鋭鋒大源太山。見る角度によって表情を変えるその山容の美しさは随一です)

水場を通過してしばらく進むと工事用道路と登山道とに分かれる分岐が現れます。
「井坪坂コース」へと向かう場合はこの分岐を左、工事用道路の方に進みます。
「十五里尾根コース」へと向かう場合はこの分岐を右、登山道の方に進みます。
スノーカントリートレイルのルートは「井坪坂コース」を通るので、ここを左、工事用道路の方に進みます。
分岐の後は少し急傾斜の道が続きますが、その坂の途中から右側を見ると“上越のマッターホルン”の異名を持つ鋭鋒「大源太山」が見えます。
この「大源太山」は清水峠から先、蓬峠にかけても見る事が可能ですが、見る角度によって表情を変える山なので、この坂の途中からの「大源太山」もチャンスがあれば見ていただきたいと思います。
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 (檜倉沢を渡る参加者の皆さん。工事用道路は檜倉沢で終わり、沢を渡った所から井坪坂の登山道が始まります)

更に工事用道路を先へ進むと檜倉沢に到着し、そこで工事用道路が終了します。
その先は沢を横切って「井坪坂コース」の登山道へと入って行くのですが、水が流れている部分を横切る所には沢の反対側に向かって大きな石が点々と設置されていますので、脚を濡らさずに沢を横切る事が出来ます。
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(井坪坂コースの登山道は檜倉沢~兎平~本谷沢までご覧の様な比較的フラットな歩きやすいトレイルが続きます)

沢を渡るといよいよ登山道が始まります。
兎平を経て、本谷沢へと向かうトレイルの間には一部トレイル上に水が流れて小川のようになってしまっている所はありますが、アップダウンの少ない気持ちの良いトレイルが続くので、終始快適に歩ける区間だと思います。
また、途中のナル水沢を横切る部分には、小さいですが綺麗な滝壺があるので、蒸し暑い時にはここで顔を洗ったり、冷たい水で頭を冷やして先に進むのも良いのではないかと思います。
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(ナル水沢を横切る部分にある小さな滝と小さな滝壺。水がとても冷たくて綺麗で頭からかぶると気持ちが良いです)

お昼休憩は本谷沢に到着したところで丁度12時近くになったので、ここでとる事にしました。
休憩場所の本谷沢から「清水峠」まではつづら折れの登山道をジグザグに登って標高を上げていきます。
ジグザグに登って行くのでキツイ傾斜はありませんが、その分歩く距離は長くなるので、中々「清水峠」に着かないなという印象を受けます。
長いつづら折れの登山道が終わると、トラバース気味にゆっくり標高を上げ「清水峠」へと近づいて行きます。
ここまで来ると自分たちが歩いてきた工事用道路が見えたり、「清水峠」の小屋が見えてくるので俄然元気が出てきます。
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(清水峠に無事に到着。記念撮影をした後少し休憩をして後ろに見える登山道を登って蓬ヒュッテへと向かいました)

「清水峠」には13時40分くらいに到着しました。
峠には薄いガスがかかっていましたが、皆さんまだまだとても元気で、ここで少し休憩をした後、記念撮影をして、この日の宿泊場所「蓬ヒュッテ」を目指して再び歩き始めました。
前回のブログでも書きましたが、スノーカントリートレイルのルートと「谷川連峰馬蹄形縦走路」のルートは一部「清水峠」から「蓬峠」までの間で同じ部分を通ります。
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(清水峠から七ツ小屋山へと向う登山道は熊笹の中を通り抜けるトレイルで僕はこれが清水峠らしさだと思います)

実は前回書いた「谷川岳馬蹄形一周の旅」を行ったのは、この日の前日で、その時は「清水峠」を通過する時にタイミング良くガスが晴れ、綺麗な景色を見る事が出来たので、この日も期待しましたが、残念ながらガスが晴れる事はありませんでした。
ただ、「清水峠」から「七ツ小屋山」へ向かう登山道を見上げた時の景色も、その登山道から「清水峠」を見下ろした時の景色も圧倒的な存在感を放っていて、少しガスを被ったくらいでは変わる事の無い「清水峠」のその存在感はスゴイなと思いました。
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(山頂がガスで覆われている奥の山が七ツ小屋山です。写真中央には稜線を歩く参加者の皆さんの姿があります)

「清水峠」から先は「七ツ小屋山」の山頂を経由し、「蓬峠」へと向かうのですが、標高1,448mの「清水峠」から、標高1,674mの「七ツ小屋山」の山頂まで、標高差200m強を登り、そこから標高1,529mの「蓬峠」へと向かうので、「七ツ小屋山」の山頂まで登るこの上り坂が初日の最後の頑張りどころでした。
その「七ツ小屋山」の山頂手前には、「蓬峠」へと向かう登山道と「大源太山」へと向かう登山道の分岐があり、「大源太山」へと向かう登山道の途中に2人組の男性の姿が見えたので、少し話をしようとそちらに向かった所、何とそのお2人は十五里尾根の西側にある沢を詰めてここまで登って来たとの事でした。
当然の事ながらそこに道は無く、藪を漕いで急な傾斜を登って来たという事なので、世の中凄い事を実行する人がいるもんだなと感心しました。
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(七ツ小屋山の山頂を越えた後は少し下ってアップダウンの少ない綺麗な稜線上を進み、蓬ヒュッテへと向かいます)

頑張って「七ツ小屋山」の山頂まで登ったら、一度少し下って稜線上のなだらかな登山道を進みます。
この稜線上のトレイルは細かいアップダウンを繰り返しますが、傾斜のキツイ所は無く、「蓬峠」まで気持ち良く歩く事が出来ます。
この日は徐々にガスが濃くなっていったので途中周りの景色を楽しむ事は出来ませんでしたが、午後4時30分、この日の宿「蓬ヒュッテ」に全員無事に到着する事が出来ました。
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(蓬ヒュッテの周辺は濃いガスで覆われていましたが、全員無事に宿に辿り着く事が出来、最高のツアー初日でした)

過去スノーカントリートレイルのツアーとしてこの清水街道を3回歩きましたが、その全てのツアーで今回も宿泊した「蓬ヒュッテ」にお世話になりました。
ヒュッテのご主人である高波菊男さんはスノーカントリートレイルの事業にご理解をいただいている有難い方で、この日の夜は他の参加者が寝てしまった後も「どこどこの登山道を是非復活させよう」とか「どこどこの山を歩く時はガイドを付けた方が良い」といった話を遅くまでさせていただきました。
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(蓬ヒュッテのご主人高波菊男さんと記念撮影。ご主人の人柄と食事に癒され快適な時間を過ごす事が出来ました)

2日目は朝食をいただいた後、ご主人と一緒に写真を撮って7時30分に宿を出発。
この日は初日以上に台風の影響が心配でしたが、出発時に雨は降っていたものの、風はまだ強くなく、何とかこのまま最後まで荒天にならないようにと祈りながら出発しました。
ヒュッテを出て「谷川岳」方面に少し進むとすぐに土合方面と谷川岳方面に分かれる分岐にぶつかります。
スノーカントリートレイルのルートはここを土合方面へと進み、白樺避難小屋へと向かいます。
この区間は最初熊笹の中に切られたトレイルを進み、その後岩場を通過しながらトラバース気味に白樺避難小屋の方に向かうのですが、下が濡れていると岩場がスリッピーになるので、通過には注意が必要です。
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(蓬峠から白樺避難小屋方面へと向かう登山道はスリッピーな岩場を通過する所もあり、慎重に下る必要があります)

白樺避難小屋手前の分岐を土合方面へと進むとすぐに避難小屋へと到着します。
「蓬ヒュッテ」を出発してここまで丁度1時間、ここは一休みするにも丁度いいスペースがあるので、一旦小休止を挿み、一息いれてから先へ進むことにしました。
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(白樺尾根を湯檜曽川に向って下る新道は最初はつづら折れの登山道でその後は綺麗なブナ林の中を通過します)

本来スノーカントリートレイルのルートはこの先の分岐を武能沢の方へと向かい、清水街道を通って土合方面へと向かうのですが、現在武能沢は崩落により登山道が無くなってしまっており、通行が出来ない為、この部分を迂回するルートを通っています。
その迂回ルートは新道を通るルートで、白樺避難小屋の先の分岐を湯檜曽川に向かって下りていきます。
この白樺尾根上を下りていく新道ルートは、最初つづら折れの登山道になっており、ジグザグに下って標高を下げたら、その後は尾根上を真っ直ぐに下りていき、武能沢を渡って湯檜曽川沿いのトレイルを下流方向に向かって進みます。
湯檜曽川沿いのトレイルはアップダウンが少なく、息切れをするようなキツイ上りもありませんが、ガレている所や濡れていると非常にスリッピーな岩場、川側が崖になっている所もあるので、注意が必要です。
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(湯檜曽川沿いの登山道は滑りやすい所やガレている所、川側が崖になっている所などもあるので注意が必要です)

芝倉沢を渡り、少し進むとJRの見張小屋があり、その先の分岐を旧国道方向に向かうと清水街道に合流します。
この清水街道へと向かう登山道は非常に傾斜のキツイ上りですが、距離的にはとても短い区間なので、少し我慢すればすぐに清水街道に合流できます。
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(湯檜曽川沿いのトレイルで特に注意が必要な部分。ロープを掴まずには渡れない位非常にスリッピーな岩場です)

清水街道(旧国道)に合流したら下流方向へと向かい、幽ノ沢を経由して一ノ倉沢方面へと進みます。
一ノ倉沢を前に何とか雨が止む事を期待したのですが、シトシトと降り続く雨は止む事はなく、この日は“雨の一ノ倉沢”でした。
ガスがかかった一ノ倉沢と言うのは今までにも何度か見た事がありましたが、正直“雨の一ノ倉沢”というのは初めてで、ガッカリの光景が広がっているのだと思っていました。
しかし、雪渓に向かって沢を流れ落ちる大量の雨水がまるで滝のようになっていて、一ノ倉沢の上部から水が流れ落ちる光景を初めて見たので、“雨の一ノ倉沢”も素晴らしいと思ったと同時に、どんな天候でも見る者を圧倒する一ノ倉沢の力というものに感動しました。
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(JR見張小屋の分岐から旧国道へと向かう登山道。傾斜のキツい登山道ですが距離は短くすぐに旧国道に出ます)

各々暫し一ノ倉沢を堪能した後に、全員で記念撮影をする事になったのですが、その頃には一ノ倉沢はすっかりガスの中に隠れてしまい、写真には微かに雪渓が写る程度になってしまいました。
ただ、雨はこの時点でほぼ止んでおり、時間も12時ちょっと前でお昼休憩をとるにはバッチリのタイミングだったので、ベンチの設置してある所まで移動し、そこでお昼を食べる事にしました。
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(雨の一ノ倉沢。雪渓に向かって流れ落ちる雨水がまるで滝のようで圧巻の光景でした。やはり一ノ倉沢は凄いです)

お昼休憩をとり始めて間もなく、再び強い雨が降り出し、お昼どころではなくなってしまいました。
このままここで待機していても埒が明かないので、早々に片付けをしてツアーの最終目的地である谷川岳山岳資料館に向けて歩き始めました。
一ノ倉沢から谷川岳山岳資料館までは間にマチガ沢や西黒尾根の登山道口などがありますが、全て舗装路で傾斜も非常に緩いので50分もあれば到着します。
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(一ノ倉沢をバックに最後の集合写真。沢は完全にガスの中でしたが、これも自然の自然な姿なので仕方ありません)

午後1時、参加者の方もスタッフも全員無事に谷川岳山岳資料館に到着。
台風の影響で天候には多少苦しめられましたが、今回のツアーも参加者の皆様のお陰で無事に終了する事が出来ました。
ツアー終了後は谷川岳山岳資料館を見学し、マイクロバスで上牧温泉「辰巳館」さんへ移動し、お風呂に入らせていただいて全ての行程を終了しました。
今回もスノーカントリートレイルの象徴ルートである清水街道でツアーを行う事が出来、尚且つ無事にツアーを終了する事が出来たのは参加者の皆さんとご協力いただいた全ての皆様のお陰だと思っています。
本当にありがとうございます。
まだまだ未完成のこのロングトレイルを皆様のお力をお借りしながら少しずつ良いモノにしていきたいと思いますので、これからも何卒宜しくお願い致します。

2013年10月9日 倉田文裕

Pista di montagna 「谷川岳馬蹄形一周の旅」

皆さんは「谷川連峰馬蹄形縦走路」というのをご存知でしょうか。
馬蹄形縦走路とは土合駅で有名な群馬県みなかみ町の「土合」を起点に「白毛門」⇔「笠ヶ岳」⇔「朝日岳」⇔「七ッ小屋山」⇔「武能岳」⇔「茂倉岳」⇔「一ノ倉岳」⇔「谷川岳」と回って再び「土合」に戻ってくるという周回路で、その周回路の形が馬のひづめ“馬蹄”の形に似ている事からその名がつけられました。
谷川馬蹄形縦走路
(「谷川連峰馬蹄形縦走路」。周回ルートになっているので時計回りでも反時計回りでもどちらでも問題ありません)

僕もこの馬蹄形縦走路を2、3年前にイーストウインドのチームトレーニングや自分自身のトレーニングで2回ばかり周った事がありますが、ここ数年は行きたい思っていながら、しばらく行けていなかったので、9月中旬のある日、久しぶりに馬蹄形一周の旅に出る事にしました。
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「土合」から「松ノ木沢ノ頭」へと向かう登山道は急登が続きます。加えてご覧の様な鎖を掴んで進む岩場もあります)

馬蹄形縦走路は周回コースなので、「土合」から「谷川岳」方面に時計回りに周っても、逆に「土合」から「白毛門」方向に反時計回りに周っても、最終的には「土合」へと戻って来ますのでどちらでも問題ありません。
僕は過去2回この馬蹄形を周った時も今回も反時計回りで周りました。
理由は「白毛門」へと登る最初の急登で自分の体調をチェックする事ができ、もし1周周りきれる体調ではないと判断したら、そこで直ぐに引き返す事が出来るという事と、もう一つ、最後の最後「谷川岳」から下る際に最悪ロープウェイに乗って下りる事が出来るという事からです。
これが逆回りだと最後の最後に「白毛門」からの激坂を下らなければならず、ロープウェイも無いので、肉体的にキツイのはもちろん、精神的にもキツイ為、僕は反時計回りに周るようにしています。
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(「松ノ木沢ノ頭」から上を見上げると次のピーク「白毛門」が見えます。標高を上げる度ガスが濃くなっていきました)

馬蹄形を「土合」から反時計回りに周る場合、出発してすぐに急登が待っています。
標高を上げるにしたがって徐々に視界は開けてきますが、最初のピーク「松ノ木沢ノ頭」までは樹林帯の急登が続きます。
急登の途中には鎖を掴まずには登れない岩場や滑りやすい木の根地帯もあるので注意が必要です。
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 (下を見下ろすと土合駅や谷川岳ロープウェイのベースプラザが見えます。グルリ周って再びあの場所に戻ります)

「松ノ木沢ノ頭」まで来ると次のピーク「白毛門」の山頂が良く見えます。
また「松ノ木沢ノ頭」から「白毛門」に向かうトレイルの途中から西側を見渡すと谷川岳東面の岩場が良く見えます。
残念ながらこの日はガスが濃く、谷川岳方面の景色は何も見えませんでしたが、馬蹄形のルート上で綺麗な景色が見える場所は他にも沢山あるので気にせず前に進みました。
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(「白毛門」の山頂から上を見上げると次のピーク「笠ヶ岳」の山頂は完全にガスの中に隠れ何も見えませんでした)

「白毛門」まで標高を上げると、ガスは益々濃くなってきて、辺り一面真っ白になってしまいました。
「今日はずっとガスの中かな」と一瞬ガッカリしかけましたが、やっぱり一つのピークに到達した瞬間というのは、例え周りが真っ白でも嬉しいもので、この「白毛門」の山頂に到着した時も、嬉しさがガッカリを上回り、次の「笠ヶ岳」へと向かうエネルギーみたいなモノを貰う事が出来ました。
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(「朝日岳」山頂に到着。山頂はガスの中でしたが、この後少しずつガスが晴れ景色が期待できる天候になりました)

「白毛門」の山頂を通過した後は一旦少し下り、再び登り返して「笠ヶ岳」の山頂を目指します。
「笠ヶ岳」の山頂からは避難小屋方向へ少し下り、そこから100mちょっと標高を上げた後、ノコギリの歯のように連続する小ピークを越えて「朝日岳」へと向かいます。
僕は「朝日岳」に着いた時の体調でこのまま一周するか、ここで引き返すかを決めようと思っていましたが、「白毛門」、「笠ヶ岳」、「朝日岳」と幾つかのピークを越えた感触が悪くなかったので、「大丈夫、行ける」という判断をして、そのまま馬蹄形一周の旅を続ける事にしました。
そして運良く「朝日岳」のピークを越えた辺りから、あれだけ濃かったガスが少しずつ晴れてきて、ようやく綺麗な景色が期待できるかなという天候になってきました。
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(「ジャンクションピーク」付近からの眺め。綺麗な稜線の先には「清水峠」。更にその奥には「大源太山」が見えます)

「朝日岳」の周辺は池塘が点在する高山植物の宝庫で、この時も少しずつ晴れてきたガスの合間から太陽の光が降り注ぎ、その光が池塘に反射して何とも神秘的な光景が広がっていました。
「ずっとこの場に居たい」という気持ちになるほど綺麗な光景でしたが、先も長いので「グッ」と我慢して更に先に進むと「ジャンクションピーク」と呼ばれる分岐の先で更なる絶景が待っていました。
これから向かうルートの先を見渡すと「清水峠」、その先には“上越のマッターホルン”の異名を持つ鋭鋒「大源太山」、更に北東の方角には今、正に雲をかぶろうとしている大烏帽子山と、今この場所でしか見る事が出来ない絶景を前に暫くその場を動く事が出来ませんでした。
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(「ジャンクションピーク」付近からの眺め。今まさに雲を被ろうとしている大烏帽子山。迫力満点、圧巻の光景でした)

僕の撮った写真だけではその感動が伝わらないと思いますので、是非皆さんにも直にこの光景を見ていただきたいのですが、「ジャンクションピーク」から「清水峠」へと下るトレイルはガレていて危ない所やトレイルのすぐ横が崖になっている所もあるので、ここを通過するときは十分注意していただきたいと思います。
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(七ツ小屋山に向かう途中で後ろを振り返ると清水峠とジャンクションピークから峠へと続く稜線が綺麗に見えます)

「清水峠」から先、「蓬峠」までの間はスノーカントリートレイルと同じルートを進みます。
「清水峠」の先、熊笹の間を抜けていくトレイルの上りは過去に刈り払った笹の残骸がトレイル上に残っていて、滑りやすいので、特にここを下る場合は転倒しないように注意が必要です。
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(“上越のマッターホルン”の異名を持つ鋭鋒大源太山。馬蹄形の外側で圧倒的な存在感を放ち聳えたっています)

「清水峠」から「七ッ小屋山」へと向かう稜線上のトレイルは傾斜のキツい登りもありますが、北西方向には先ほども登場した“上越のマッターホルン”「大源太山」が、立ち止まって後ろを振り返ると先ほど通過してきた「清水峠」が綺麗に見えるのでキツい登りも苦になりません。
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(「七ツ小屋山」から「蓬峠」へと続く綺麗な稜線。比較的アップダウンの少ない区間で気持ち良く歩く事が出来ます)

「七ツ小屋山」の山頂を過ぎると「蓬峠」までは気持ちの良い稜線トレイルが続きます。
小さなアップダウンを繰り返しますが、キツい上り下りは無く、途中には池塘も存在し、快適に歩けます。
上の写真を見ていただいてもわかりますが、「朝日岳」を通過して一旦は綺麗に晴れたガスが、「蓬峠」の先でまた濃くなってきており、「蓬峠」の先の「武能岳」を見ると既にガスに覆われていて、山頂はおろか山容もわからない状態でした。
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(手前に見える建物が蓬ヒュッテ、その先に見えるガスで完全に覆われてしまっている山が次に登る「武能岳」です)

スノーカントリートレイルのルートは「蓬ヒュッテ」を通過した後、分岐を白樺尾根の方に下りますが、馬蹄形のルートは稜線上を「武能岳」の方へと向かいます。
「蓬峠」から「武能岳」の山頂までは標高差が230mありますが、急登という印象の傾斜はなく、加えてこの時は山の中腹から上にガスがかかっていた影響でとても涼しく、気持ち良く山頂まで行く事が出来ました。
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(蓬峠から武能岳山頂へと向かう登山道はゆっくり少しずつ標高を上げていくのでそこまで標高差を感じさせません)

「武能岳」の山頂を通過した後は“舟窪地形”という2つの平行して並ぶ稜線に挟まれた窪地の真横を通って次のピーク「茂倉岳」を目指します。
「武能岳」の山頂が1,759mで、一度1,594mまで標高を下げ、そこから「茂倉岳」の山頂1,977mまで上がるので、とてもタフな区間だと思いますが、その分「茂倉岳」の山頂に辿り着いた時の達成感というのはとても大きなものがあると思います。
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 (写真では分かり難いと思いますが、ここには舟窪地形という2つの平行して並ぶ稜線に挟まれた窪地があります)

出発した「土合」からここ「茂倉岳」までの間に出会った人の数はわずか6人だけでしたが、平日にしては多い方ではないかと思います。
ただ、この後通過する日本百名山の「谷川岳」は登る人の数も馬蹄形の比では無いので、「茂倉岳」を通過した時点でこれから出会う人の数は徐々に増えていくだろうと予想していました。
「土合」から「茂倉岳」の間に会った6名のうち少なくとも2名は馬蹄形を縦走していると思われる方々で、その2人組の男性パーティーの方達は朝2時に「土合」を出発して日帰りで馬蹄形を周っているとの事でした。
日帰り縦走、一泊二日もしくは二泊三日の縦走、単独行、複数人による集団縦走、スタイルは多々あると思いますが、ご自分の体力、技術、経験にあった無理のないスタイルで、安全に、楽しく、馬蹄形縦走の旅を楽しんでいただきたいと馬蹄形を周りながらそう思いました。
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(茂倉岳の山頂手前で周りを見渡すといつの間にか雲が視線よりも低い所にあり自分は雲よりも高い所にいました)

「茂倉岳」の山頂の分岐を「谷川岳」方面に向かうと、次に現れるピークが「一ノ倉岳」です。
“一ノ倉”と言えば日本三大岩場の一つ「一ノ倉沢」を思い浮かべる方が多いかと思いますが、その「一ノ倉沢」の真上にあるのが「一ノ倉岳」です。
その「一ノ倉岳」の山頂にも分岐があり、そのまま稜線上を真っ直ぐに進むといよいよ「谷川岳」のピークが近づいてきます。
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(「一ノ倉岳」から「谷川岳」のオキの耳へと続く稜線上トレイル。下から湧き上がってくるようなガスが幻想的でした)

「一ノ倉岳」から一度急坂を下って岩場を登りながら「谷川岳」の二峰に分かれている頂部の一つ“オキの耳”のピークに向かうのですが、この辺りからすれ違う登山者の数が少しずつ増えてくるので、もう谷川岳が近いんだなという気持ちになります。
“オキの耳”までの間にはゴツゴツした岩場や鎖を使って登る岩場なんかもありますが、そこは流石は沢山の人が登りに来る“名のある山”、慌てず、騒がず、一歩ずつ、慎重に進めば安全に歩けるようになっていると思います。
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(オキの耳の手前、鎖が設置された岩場。岩場が連続する区間ですが慎重に進めば問題なく通過できると思います)

“オキの耳”は完全にガスで覆われていて360度真っ白な世界になっていましたが、6、7人の人が休憩をしていました。
“オキの耳”でこれだけの人がいるという事はもう一つの頂部“トマの耳”には更に多くの人がいて、これからその人達が“オキの耳”の方に歩いてくるだろうと思ったので、トレイルが混雑しないうちに早々に“オキの耳”を後にして“トマの耳”へと向かう事にしました。
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(日本百名山の一つ谷川岳の山頂。オキの耳とトマの耳、谷川岳の2つの山頂には沢山の登山者が来ていました)

“オキの耳”から“トマの耳”の間には短い上り下りがあるだけですぐに到着します。
予想通り“トマの耳”には“オキの耳”以上の登山者の方がいて沢山の人で賑わっていました。
当然の事ながらここ“トマの耳”もガスで真っ白で何も見えなかったので、長居はせずに「肩の小屋」方面に向かって下山を始めました。
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(谷川岳登山の拠点「肩ノ小屋」。ここから天神尾根、田尻尾根、田尻沢を通って出発地点の土合へ下りて行きます)

馬蹄形縦走を行う時に「谷川岳」の山頂から「土合」へと下りる部分はどこを通るのが正解なのかわかりませんが、僕は「肩の小屋」から天神尾根を「天神平」方面に下って、途中の分岐で田尻尾根を下り、田尻沢に下って、「土合」へと向かいます。
「谷川岳」山頂から天神尾根を「天神平」へと向かうルートは「谷川岳」登山のメインルートの一つで良く整備された登山道が続きますが、途中にはロープや鎖付きの岩場もありますので注意が必要です。
また、この区間は特に沢山の登山者の方に出会いますので、ここを下る場合は登りの方に配慮して慎重に下っていただきたいと思います。
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(田尻尾根の登山道は滑りやすい木の根や苔生した石、ぬかるみなどが多いので転倒しないように注意して下さい)

天神尾根を熊穴沢避難小屋の分岐まで下り、その分岐を「天神平」方面に進むと、しばらくアップダウンの少ない木道が続きます。
この木道は傾いてしまっている所や木段と地面との間が極端に広くなっている所があるので注意が必要です。
また、濡れていると非常にスリッピーになるので、雨の日や雨上がりの日は十分に注意して田尻尾根の分岐を目指す必要があります。
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(ケガなし、病気なし、落し物なし。何事もなく無事に出発地点へと戻って来る事。それが馬蹄形を縦走する条件です)

田尻尾根のトレイルは樹林帯の中を抜ける湿気の多いトレイルで、木の根や苔生した石が多いので、滑って転ばないように注意が必要です。
また、田尻尾根ルートの出口付近、田尻沢に合流する部分はぬかるんでいると非常にスリッピーなので注意して下さい。
田尻沢に合流したら、最後に林道を下り、国道291号線に出た所でいよいよ「馬蹄形一周の旅」が終わります。
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(ケガなく無事に戻った自分にご褒美のコーラ。僕より頑張って足元を支えてくれた“TevaSphere”とコーラで乾杯)

今回、僕自身3回目の「馬蹄形一周の旅」でしたが、ある程度天候にも恵まれ、今までで一番楽しいと感じる旅になりました。
僕は今回もこの馬蹄形をトレーニングの一環として一周しましたが、馬蹄形は速く周れれば良いというものではありませんし、ましてやレースをする場でもありません。
僕が何時に「土合」を出発し、どこどこのピークを何時に通過して、「土合」に何時間で戻って来たのかという情報をここに書く事で競争を煽るような事はしたくないので、敢えてここで書く事はしませんが、昭文社の山と高原地図のコースタイムでは時計回りでも、反時計回りでも、一周するのに約17時間必要という事になっており、実際休憩時間を加えたり、悪天候などの条件が加わるとそれ以上にかかる可能性も十分に有り得ます。
馬蹄形を縦走する場合は、絶対に無理はせず、自分の技術、体力、経験に合わせた十分な装備と余裕のあるスケジュールで臨んでいただきたいと思います。

2013年10月3日 倉田文裕
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