前回、8月3日のスノーカントリートレイルオープニングイベントと巻機山登山ツアー前夜の交流会について書きましたが、今回は8月4日の「シェルパ斉藤さんと行く~巻機山~」ツアーについて書きたいと思います。
今回、「巻機山」にはガイドを務める田中正人さんと僕、スノーカントリートレイルのスタッフ、ゲストのシェルパ斉藤さん、そしてツアー参加者の皆さん12名の計16名で登りました。
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(出発前の集合写真。気持ちの良い朝の空気の中「シェルパ斉藤さんと行く~巻機山~」ツアーがスタートしました)

朝6時、朝食を済ませて宿の前に集合。
お世話になった宿「泉屋」さんのご主人にバンで何回か往復していただき、参加者の皆さんを登山口へと送迎していただきました。
身支度を整え、全員で出発前の集合写真を撮って6時30分登山開始。
田中正人さんが先頭で、ゲストのシェルパ斉藤さんに列の真ん中辺りにいていただき、僕が最後尾を歩きました。
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(5合目手前ブナ林の中を通る登山道。ブナの木々の間から朝の日差しが射し込みキラキラ光ってとてもキレイでした)

ルートは最もメジャーな「井戸尾根コース」。
このコースは登山口の駐車場から3合目を過ぎた辺りまでは緩い登り坂で、そこから先9合目の手前までは傾斜のキツイ直登と傾斜の緩いつづら折れの登山道が連続します。
「巻機山」は決して楽に山頂まで行ける山ではありませんが、この「井戸尾根コース」はルート上に危険箇所も少なく、ある程度体力がある方なら決して登れない山ではないと思います。
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(5合目で米子沢を見ながら一休み。この日は日曜日という事で後から後から沢山の登山者の方が登ってきました)

恐らく参加者の皆さんが最もキツイと感じた所が4合目の手前から5合目にかけてではないかと思います。
この区間は緩い上り坂から急に傾斜がキツクなる部分で、まだ身体が温まっていない、準備が出来ていない状態で登らなければならないのでとてもキツク感じます。
ただ、5合目まで登ってしまえば、傾斜も緩くなり、視界も開けるので5合目まで頑張れれば精神的にも肉体的にもだいぶ楽になります。
現に前日の交流会で美味しいお酒を飲みすぎて若干2日酔い気味の参加者の方がいらっしゃいましたが、この区間を汗だくになって登ったら、汗と一緒にアルコールも抜け5合目以降は復活して元気に登られていました。
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(7合目付近の眺望。樹林帯を抜けると視界が開け辿ってきたルートとこれから辿るルートの両方を望む事が出来ます)

7時40分、5合目に到着。
ここで一度小休止を挿み、シェルパ斉藤さんが昨年の10月下旬にこの「巻機山」を歩いた時の話(フィールドライフ 2012冬号に掲載)などを聞きました。
今回、この「巻機山」にスノーカントリートレイルのツアーとして登りましたが、現在のスノーカントリートレイルのルートに「巻機山」は含まれておりません。
理由は今回通った「井戸尾根コース」が巻機山登山のメインルートとして老若男女沢山の方々に親しまれているのに対し、その反対側、「五十沢」から「割引岳」を経て「巻機山」へと登るルートが非常に急峻で危険な登山道であるため滅多に人が通らず、その存在を知っている人もごく僅かであるという事からで、山岳救助隊の方、地元住民の方、市の担当者の方、色々な方と協議をした結果、歩かれる方の安全を第一に考え、巻機山をルートから外すという事になりました。※詳しくはスノーカントリートレイルのホームページをご覧ください
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(8合目で出会った御年80歳超のご婦人。一歩一歩大切に足を踏み出すその姿勢にランナーとして心打たれました)

そういう意味では今回のツアーは“幻のルート”を辿るというツアーになった訳ですが、コースディレクターの田中正人さんも僕も、この「巻機山」を通る事を諦めている訳ではなく、「巻機山」のお隣りの山「牛ヶ岳」から「丹後山」へと続く稜線上に“夢の縦走路”が復活した際には再びこの名峰「巻機山」をルートに戻したいと考えていますので、“夢の縦走路”の実現に向け是非皆様のお力もお借りできればと思います。
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(この日は頭上を何度も荷上げのヘリが往復していました。その理由がこの木道整備。高所での作業お疲れ様です)

5合目周辺の綺麗なブナ林を抜けると徐々に視界が開けてきて、6合目付近の展望スペースからは「割引岳」や「ヌクビ沢」を望む事が出来ます。
更に7合目まで進むと完全に視界が開け、今まで辿ってきたルートとこれから辿るルートの両方を見る事が出来るようになります。
この辺りから井戸尾根の先、これから辿るルートを見上げると「あれが巻機山の山頂かな?」と勘違いしてしまうピークが見えます。
このピークは9合目にある“ニセ巻機山”というピークで、本当の「巻機山」のピークは9合目から更に奥に1時間ほど進んだところにあります。
この井戸尾根コースから「巻機山」の山頂が見えるのは9合目の少し手前からなので、それよりも前に見えるピークは“ニセ巻機山”と思っても良いかもしれません。
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(避難小屋近くの水場。まだ雪が残っていてこの場所自体が自然のクーラーでした。もちろんお水は超美味しいです)

この日は日曜日という事で登山道は沢山の登山客で賑わっていましたが、特に8合目から9合目にかけての展望の良い場所では景色を楽しみながら休憩をする沢山の登山客の皆さんと出会いました。
その中には80歳を超えてもなお元気に巻機山に登っていらっしゃるご婦人もいてビックリしました。
9合目のニセ巻機山を過ぎると一度少し下り、その先に巻機山避難小屋と水場の沢が見えてきます。
この避難小屋で最後の小休止を挿んで山頂へと向かったのですが、僕は今まで一度もここの水場を見に行った事が無かったので、良い機会だと思って調査に向かいました。
その水場は避難小屋から少し下った沢沿いにあるのですが、8月3日の時点でまだ水場の上流には雪が残っており、雪解け水が冷たくて美味しいのはもちろんの事、その水場自体が残雪のおかげでとても涼しく非常に快適な場所でした。
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(「巻機山山頂」と書かれた道標がある場所で記念撮影。この後日本百名山「巻機山」の本当の山頂に向かいました)

避難小屋まで来てしまえば山頂までもう少しです。
神秘的な池唐群を抜け、木段を上がれば「巻機山山頂」と書かれた道標のある場所に到着します。
しかし、この場所は本当の山頂ではありません。
その場所から東の方向に10分ほど行くと本当のピークがあるのですが、何故かそこには山頂の道標は存在しません。
どうせ集合写真を撮るなら山頂の道標がある所で撮りたいという事で、先ずこの場所で参加者全員の記念写真を撮ってから道標の無い山頂の方に向かいました。
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(山頂では皆さんとシェルパ斉藤さんの記念撮影に田中正人さんと僕も加わって色んなポーズで写真を撮りました)

山頂の道標がある場所は沢山の人で賑わっていましたが、本当の山頂には数人の登山者の方がいるだけで道標のある場所ほどの賑わいはありませんでした。
昼食はこの本当の山頂で食べる事にしたのですが、昼食を食べはじめて間もなく、本格的に雨が降り出し、ジッとしていると寒いくらいだったので早々に昼食を済ませて下山を始めました。
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 (山頂付近では雨に降られてしまいましたが、下山を開始すると雨はすぐに止み、麓では青空が広がっていました)

雨は避難小屋まで下ると大分弱くなり、7合目まで下った時には完全に止んでいました。
ただ、雨でぬかるんだ登山道は非常にスリッピーで、特に粘土状の土がぬかるんだ部分は注意が必要だったので慎重に下りました。
12時30分に避難小屋を出発し、15時20分に登山口に到着。
我々が登山口のある駐車場に到着した時にはシェルパ斉藤さんは既にそこにいました。
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(一足先に山を降り皆さんの為にコーヒーを淹れて待っていて下さったシェルパ斉藤さん。山のコーヒーは最高です)

シェルパ斉藤さんは一人先に下山をし、参加者の方々にコーヒーを振る舞うために準備をして下さっていました。
8月3日のオープニングイベントでもシェルパ斉藤さんが淹れて下さったコーヒーは大好評でしたが、この日は標高1,967mの山の頂まで行ったという特別な達成感があったので、尚更美味しく感じました。
シェルパ斉藤さんのコーヒーをいただいた後はシェルパ斉藤さんが書かれた著書の販売とサイン会が行われ、シェルパカフェの前で全員で“行ってきました”の記念写真を撮ってツアーは無事に終了となりました。
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(ゴール後の記念撮影。今回ツアーに参加していただいた皆さん、シェルパ斉藤さん、本当にありがとうございました)

スノーカントリートレイルとしては3日のオープニングイベントと今回の巻機山登山ツアーが無事に終了してようやくスタートを切ったという感じですが、改めてこの2日間でスノーカントリートレイルは沢山の人に支えられ、応援されて成り立っているんだなという事を再認識しました。
道標の設置やより良いルートの開拓、地元の方への協力要請、認知度のアップなどやるべき事は山積していますが、慌てず騒がず一つ一つやるべき事をやって少しずつ良いトレイルにして行きたいと思います。
今回、「シェルパ斉藤さんと行く~巻機山~」ツアーに参加して下さった皆様、本当にありがとうございました。
次回は9月の14日、15日に清水街道を1泊2日で歩くツアーを行いますので、興味のある方は是非スノーカントリートレイルのホームページを覗いていただければと思います。

2013年8月30日 倉田文裕