前回、11月の下旬にニュージーランドで開催されたラフティング世界大会で見事世界2位に輝いた日本唯一のプロ・ラフティングチーム「テイケイ」の事について書きましたが、今回は同大会のマスタークラスで世界3位に入った「Rapid Masters(ラピッドマスターズ)」というラフティングチームについて書きたいと思います。
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(ラフティング世界大会マスタークラス日本代表の「ラピッドマスターズ」。川の偉大な先輩方が偉業を成し遂げました)

「ラピッドマスターズ」は1999年に結成された国内初のラフティング日本代表チームで、同年南アフリカのオレンジ川で開催された世界大会に初出場しました。
その後、2002年に、テイケイグループによる実業団チーム、「テイケイワークス・ラフティング競技部 チーム・テイケイ」が結成されるまでの間、日本を代表するラフティングチームとして世界を舞台に戦ってきました。
「チーム・テイケイ」の結成と同時に「ラピッドマスターズ」の歴史も一度は幕を下ろしましたが、2012年にニュージーランドで開催されたプレ大会で「マスターズ」という新たなカテゴリーが設けられることが決まり、元メンバーに新たに新メンバーを加えた新チームで「ラピッドマスターズ」が再結成されました。
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(2002年当時の「ラピッドマスターズ」。「テイケイ」前監督の浅野重人さんをはじめ錚々たる顔ぶれが並んでいます)

メンバーはキャプテンの本間 靖雄さん、稲田 勇人さん、宮川 祐二さん、有馬 新さん、貝本 宣弘さん、梅本 徹さんの6名で、有馬新さんは10月下旬に急逝された小橋研二さんの遺志を継ぐ形で11月上旬、世界大会直前に急遽チームに加わりました。
メンバーの皆さんは、“伝説的なラフティングガイド”に、“日本を代表するカヤッカー”と、僕のようなラフティングガイドの端くれからすれば、神レベルの凄いメンバーが揃っており、僕にとっては親近感が湧く身近なチームと言うよりは、気安く声をかける事など許されないチームという感じですが、本間靖雄さんと宮川祐二さん、有馬新さんはみなかみ町のアウトドアツアー会社カッパCLUBで大変お世話になっている大先輩ガイドなので、「ラピッドマスターズ」が再結成された時から陰ながら応援させていただいていました。
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(「みなかみX‐TREAM」では「テイケイ」に次ぐ総合2位で見事世界大会マスターズ部門への出場権を獲得しました)

6月の15、16日に群馬県みなかみ町で行われた「みなかみ X‐TREAM」で、ラフティングチーム「テイケイ」に次ぐ好成績を残し、見事世界大会マスターズ部門の出場権を獲得した「ラピッドマスターズ」ですが、ラフティングチーム「テイケイ」とは違い、プロチームではないので、生活の拠点も仕事もバラバラで、メンバー全員で一緒にトレーニングをする機会も限られてしまう為、出場権を獲得するまでの過程、そして世界3位になるまでの過程には様々な苦労があったのではないかと思いますが、それを微塵も感じさせずに、この短期間で結果を残してしまうこのチームとメンバーの皆さんは本当に凄いなと思いました。
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(1位ニュージーランド、2位チェコ共和国に次ぐ総合3位でラフティング世界大会「マスターズ部門」で見事表彰台に)

ニュージーランドで行われた世界大会での結果は大会初日のスプリント3位、最終日のダウンリバー3位と、2種目で表彰台へと上がり、そして総合でも1位ニュージーランド、2位チェコ共和国に次ぐ、世界の3位に入り、海外の屈強な男たちを相手に日本人ラフターのレベルの高さを証明しました。
僕はこの世界3位という結果はもちろんですが、「ラピッドマスターズ」のメンバーの皆さんが表彰台で小橋研二さんの写真を誇らしく掲げている姿に、日本人の絆の強さみたいなものを感じ、非常に感動しました。
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(「やっぱり日本人っていいな」と感じる表彰式での一枚。小橋研二さんの胸元にもしっかりと銅メダルが輝いてます)

今後、「ラピッドマスターズ」の皆さんがどのような活動をしていくのか僕は存じ上げませんが、これからもラフティングの関係者だけでなく、世の中のマスターズ世代のアスリートに勇気を与える活躍を勝手に期待していきたいと思います。
「ラピッドマスターズ」の皆様、本当におめでとうございました。
そして、沢山の勇気と感動をいただきありがとうございました。

2013年12月19日 倉田文裕