標高の高い山では既に本格的な冬の到来を感じさせる今日この頃ですが、先日まだ冬の到来をあまり感じさせない屋久島へと行き鹿児島県の最高峰「宮之浦岳」に登ってきました。
今回はその時の事について書きたいと思います。
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(「紀元杉」。車でアクセスができる唯一の屋久杉という事でこの日も沢山の観光客の方がバスに乗って来ていました)

2泊3日の行程で屋久島へと行き、その中日に「宮之浦岳」へと登ったのですが、屋久島に着いたその日は強い雨が降り続く生憎の空模様でした。
いきなりの屋久島らしい雨の洗礼に翌日の登山も雨の中のそれを覚悟しましたが、運良く雨は止み雨無しの登山を楽しむ事が出来ました。
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(「屋久島トレッキング」には防水性とグリップ力に優れるシューズと防水透湿性に優れるレインウェアが不可欠です)

今回の「宮之浦岳」への登山も10月の「富士山」登山の時同様、シューズはトレランシューズではなく、防水性とグリップ力に優れたトレッキングブーツを履き、トレランの装備ではなく、登山の装備を身に付け終始歩きに徹しました。
ルートは「荒川 登山口」から「安房森林鉄道」の線路上を行く登山道を通って「大株歩道入口」へと向かい、「大株歩道」、「宮之浦歩道」を通って「宮之浦岳」の山頂を踏んで、「花之江河」を経由して「淀川登山口」へと下りるというルートで歩きました。
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(朝5時、「屋久杉自然館」から「荒川登山口」へと向かう「荒川登山バス」に乗るためにバス停に列ぶ方達の長い列)

「屋久杉自然館」から「荒川登山口」へと向かう「荒川登山バス」のバス停には想像以上に沢山の方がいて、ハイシーズンでもないのに流石は「世界自然遺産」登録地域だなと思いました。
僕は午前5時発のバスに乗りたかったのですが、定員オーバーで乗れずその次の午前5時20分発のバスに乗って「荒川登山口」へと向かいました。
「荒川登山口」へと到着したのは午前5時55分、そして午前6時丁度、鹿児島県最高峰にして九州最高峰の「宮之浦岳」山頂へ向かって歩き始めました。
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(夜明け前の「小杉谷橋」近くの登山道。「荒川登山口」を出発した時はまだ真っ暗でしたが大分明るくなってきました)

この日の日の出時刻は午前6時50分。
「荒川登山口」を出発する時はまだ辺りは真っ暗でヘッドライト無しでは歩けませんでした。
加えて「大株歩道入口」までは延々「森林鉄道」の線路上を歩く事になるのでライト無しで快適に歩く事は難しい状況でした。
その「森林鉄道」の線路上を歩く登山道は「小杉谷橋」を渡ると線路の中央に平らな木の板が張られ歩きやすくなるので、それまでよりも快適に歩けるようになります。
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(朝日が射し込み幻想的な雰囲気が漂う登山道。木々や植物の雫が朝日によってキラキラと輝きとても綺麗でした)

夜明けは「楠川分れ」から「大株歩道入口」の間を歩いている時に迎えました。
屋久島の夜明けはとても瑞々しく、木々の間から射し込む朝日がとても綺麗でした。
またその朝日に照らされた木々や植物の雫がキラキラと輝く光景にとても癒され、何とも言えない特別な力をもらった気がしました。
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(「森林鉄道」の登山道から「大株歩道」へと入ると道の雰囲気は一変します。ここから本格的な登山道が始まります)

フラットな「森林鉄道」の登山道は「大株歩道入口」で終わり、ここから本格的な登山道が始まります。
サーフェースは木の根や石、木段などバラエティーに富んでいて、滑りやすい場所も多いですが、沢山の人が歩いている道なので苔がベッタリ張り付いている部分も少なく、足を置く場所を選んで歩けば問題ないと思います。
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(至る所で遭遇したヤクシカ。人馴れしすぎて全く逃げない為近づくまでその存在に気付かない事が多々ありました)

この「大株歩道」を歩いている時もそうでしたが、今回沢山の場所でヤクシカに出会いました。
人馴れしすぎて全く逃げず、しかも屋久島の自然に同化していてその存在に気付きにくい為、突然目の前に現れてビックリする事もありましたが、サイズが小ぶりで可愛らしいので出会う度に心が和みました。
因みに今回ヤクシカには沢山出会いましたが、お猿さんには残念ながら出会えませんでした。
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(「縄文杉」。ハイシーズンならまずありえないと思いますが、今回は完全貸切状態で「縄文杉」を見る事が出来ました)

「扇杉」、「ウィルソン株」、「大王杉」、「夫婦杉」と名のある屋久杉の横を通過していよいよ「縄文杉」へと到着します。
ここまで歩いてくる間に下山してくる何人かの登山者の方とすれ違いましたが、「縄文杉」に到着した時にはそこには誰もおらず、完全貸し切り状態でした。
あの「縄文杉」を独り占めという“贅沢な時間”をしばらく楽しみたかったのですが、今回の登山の目的は「縄文杉」を見る事ではなく、「宮之浦岳」に登る事だったので、記念撮影をしたらすぐに出発しました。
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(昨年8月に建て替え工事が行われた非常に綺麗な「高塚小屋」。今は「新高塚小屋」よりも“新”な状態だと思います)

「縄文杉」から少し歩くと「高塚小屋」に到着します。
この「高塚小屋」は昨年8月に建て替え工事が行われたばかりのとても綺麗な小屋で、鉄骨造の3階建て、しかもバルコニー付きのお洒落な造りになっています。
「高塚小屋」から更に標高を上げると「新高塚小屋」という山小屋に到着します。
“新”と付いていますが、新しくなった「高塚小屋」の方が今は新しいので、感覚的には「高塚小屋」の方は「新新高塚小屋」という感じかもしれません。
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(「第二展望台」から「翁岳」、「栗生岳」、「宮之浦岳」をバックに一枚。少しガスはかかっていましたが良い眺めでした)

この「新高塚小屋」に到着する少し前にすれ違った方達はこの日の前日に土砂降りの中「宮之浦岳」に登られたそうで、「今朝登り返してきました」、「今日はラッキーですね」と仰っていました。
確かに前日の雨は麓の方でもかなり強かったので、山では更に強い雨と風であったのかもしれないと思うと大分ラッキーだったのかなと思います。
「新高塚小屋」を通過後は何回かアップダウンを繰り返し「第一展望台」、「第二展望台」、「平石」、「焼野三叉路」と経て、いよいよ「宮之浦岳」の山頂に行き着きます。
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(「第二展望台」から「平石」方面へ少し進んだ場所から撮影した「永田岳」。この山もいつか登ってみたいと思います)

途中の「第二展望台」からの眺めは圧巻でした。
完全に遠くまで見渡せたわけではありませんが、「翁岳」や「宮之浦岳」がハッキリと見え、とてもテンションが上がりました。
また「焼野三叉路」を「宮之浦岳」方面へ少し進んだ所では西側のガスが丁度晴れ、九州で「宮之浦岳」に次いで2番目に高い山「永田岳」の雄々しい姿も見る事が出来ました。
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(「宮之浦岳」山頂。鹿児島県の最高峰にして九州の最高峰の頂き[標高1,936m]に無事に立つ事が出来ました)

そして三叉路から間もなくして鹿児島県の最高峰「宮之浦岳」の山頂(標高1,936m)に到着。
山頂付近には薄くガスがかかっていましたが、そこには5、6人の登山者の方がいて休憩をしつつガスが晴れるのを待っていました。
僕はこの後の天気が心配だったので山頂に長居をせず、記念撮影をしたら直ぐに下山を開始しましたが、やっぱり「宮之浦岳」の山頂とその周辺から見る景色は独特で、その雰囲気は今まで感じた事のない特別なものを感じました。
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(一番手前の山が「宮之浦岳」の隣にある山「栗生岳」、その右奥にある山が「翁岳」、その右側の山が「安房岳」です)

そして「宮之浦岳」の隣りにある山「栗生岳」(標高1,867m)も、そのまた隣りにある山「翁岳」も山頂に巨大な花崗岩がどっしりと鎮座している独特な山容でとてもカッコイイ山だなと思います。 
その「栗生岳」を通過し、「翁岳」、「安房岳」、「筑紫岳」を左手に見ながら巻くようにして徐々に標高を下げていくとその先の「投石平」に向かってやや急峻な登山道が待っています。
「投石平」へ下る登山道の途中には花崗岩の岩場地帯もありますが、しっかりとしたロープが設定されているので慎重に進めば問題ありません。
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(正面に見える山が「安房岳」。鬱蒼とした森の中を一本の登山道だけが走っていてとても美しい景色だと思います)

「筑紫岳」から下っている最中に、真正面に「黒味岳」(標高1,831m)という九州で6番目に高い山が目の前に現れました。
この「黒味岳」は“屋久島三山”の一つで、山頂にはやはり巨大な花崗岩があり、「栗生岳」や「翁岳」とはまたひと味違ったオーラを放っています。
残念ながらルートから少し離れた「黒味岳」には今回は時間がなく登る事は出来ませんでしたが、あの山は「下から眺めるだけでなく登ってみたい」と思わせる魅力的な山なので、次の機会には是非山頂に立ってみたいなと思います。
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(「花之江河」。後ろに見えるのが「黒味岳」です。いつか「黒味岳」にも登り今回歩いたルートを上から眺めたいです)

「投石平」へと下り、「黒味岳」の東側の山裾を巻くようにして進んでいくと「黒味岳」へと至る登山道との分岐に到着します。
「黒味岳」へと向かう場合はこの分岐を「黒味岳」方面へと向かい、「淀川登山口」方面へと向かう場合は正面の大きな岩を乗り越えて直進します。
その後標高を1,630mまで下げると日本最南端にある高層湿原「花之江河」に到着します。
「花之江河」のバックには先ほどの「黒味岳」を綺麗に見ることが出来、この時は気温の上昇と共にガスが少しずつ濃くなりつつありましたが、しっかりとその勇姿を見る事が出来ました。
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(「高盤岳」の山頂にある「豆腐岩」。人の力では作り得ない自然の造形美に僕はただただ自然の力に感嘆しました)

「花之江河」で「黒味岳」を見た後は分岐を「淀川登山口」方面へと進み、もう一つの小さめの湿原「小花之江河」へと向かいます。
「小花之江河」から更に進むとそこには「高盤岳展望台」という展望スペースがあります。
「豆腐岩」で有名な「高盤岳」という山を望む事が出来るのですが、この時は完全に周りをガスで覆われてしまい見る事ができませんでした。
山頂に豆腐を包丁で切り分けたかのような形をした巨大な花崗岩がある「高盤岳」を「高盤岳展望台」では見る事が出来なかったのですが、実は「小花之江河」を通過中に運良く見る事が出来ました。
“隆起”、“侵食”、“膨張”、何がどうなったらこういった形の岩が出来上がるのか頭の悪い僕には全くわかりませんが、ただただ「自然は凄い」と感じた光景でした。
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(透明度が半端ない淀川の水。こういった美しい自然を人の手によって壊してしまう事のないよう守っていきたいです)

「高盤岳展望台」から先は「淀川小屋」に向かって一気に標高を下げていきます。
一気にと言っても約1.6kmの道のりの間に標高を200m強下るので急傾斜がずっと続くという訳ではありません。
加えて標高下げると徐々に植生も変わっていき景色の変化を楽しめるので、飽きる事なく淀川まで下る事が出来ると思います。
淀川に架かる橋が見えたら「淀川小屋」はすぐそこです。
淀川の水の透明度は半端ではなく、「淀川小屋」近くの水場ではその淀川に流れこむ支流のお水を確保する事ができるので是非直にその水に触れてみて下さい。
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(「紀元杉」。人の一生の何倍をこの屋久杉は生きているのかと考えたら気が遠くなりました。本当に自然は凄いです)

「淀川小屋」から「淀川登山口」までの間は1.5km程の道のりで、細かなアップダウンはありますが、基本下り基調で気持ちのいいトレイルが続きます。
この「淀川小屋」から「淀川登山口」にかけての間と「淀川登山口」から「紀元杉」のバス停にかけての間でこの日は「淀川小屋」に泊まって翌日「黒味岳」もしくは「宮之浦岳」に登るという方と結構な人数すれ違いました。
丁度僕が「淀川登山口」に着いた時にポツポツと雨が降り始め、その後少し強くなったのでこの日は雨の中の登山となった皆さんも、翌日はとても良い天気だったので僕と同様“屋久島らしい雨”からの“らしからぬ好天”という楽しい登山になったのではないかと思います。
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(登山の翌日には「白谷雲水挟」を訪れました。写真は「雲の展望台」バス停から撮った「宮之浦港」方面の写真です)

今回「淀川登山口」に下山してから雨に降られましたが、山を歩いている最中は雨に降られる事なく快適に歩く事が出来ました。
この翌日も晴れ間が広がり「白谷雲水峡」も楽しむ事が出来ました。
「独特な気候」、「独特な自然」、そして「独特な雰囲気」、島の全てが独特で普段は感じられない新鮮な空気感を感じる事が出来た3日間でした。
行きたいと思ってもそう簡単に行ける場所ではありませんが、今回登れなかった山やルートもまだまだあるので是非また機会を作って「屋久島」を訪れたいと思います。

2014年11月29日 倉田文裕